プジョー106 GTi/ラリー 英国版中古車ガイド 才能あふれるフレンチ・ハッチ

公開 : 2022.02.03 08:25  更新 : 2022.11.01 08:51

プジョー最小の106。GTiやラリーといったホットモデルは、今もドライバーを喜ばせてくれると英国編集部は評価します。

ホモロゲーション・スペシャルのラリー

ラリーシーンで活躍した、プジョー205。そのイメージが重なるホットハッチの205 GTiは、すっかり高嶺の花となってしまった。だが、まだ安価に購入できる、才能あふれるフレンチ・ハッチバックが存在する。1991年に発売されたプジョー106だ。

英国の中古車市場では、ホットハッチの106 GTiを2000ポンド(約31万円)程度から探すことができる。ラリーは少し価格帯が上になるものの、極上車でも1万3000ポンド(約201万円)の予算があれば充分だろう。

プジョー106 ラリーS1(1994年/英国仕様)
プジョー106 ラリーS1(1994年/英国仕様)

どちらもホットな106だが、ラリーとGTiは性格が異なる。また日本には、同等のエンジンを積んだS16が導入されていた。

106 ラリーには、2種類が存在する。最初に導入されたのがラリーS1で、発売は1994年。走りを追求し、装備を簡素化させたホモロゲーション・スペシャルといえ、エンジンは1400cc以下のラリー・カテゴリーへ準拠するように設定されていた。

燃料インジェクションを備える自然吸気の1.3L 4気筒8バルブユニットは、最高出力100psを発揮。現代ではさほどパワフルに見えない数字だが、車重は825kgしかない。

トランスミッションはクロスの5速マニュアル。強化されたアンチロールバーに、パワーアシストの付かないステアリングで、シャシーはシャープに仕立てられている。内装は削られ、ラリー・カラーを彷彿とさせるグラフィックがボディに与えられていた。

省略された内装にスチールホイール

106の小さなボディを引き締めたのが、軽量なスチールホイール。生産台数は約1000台と少なく、欧州でも生き残っているクルマは殆どない。だが、時間をかけて探せば出てくるだろう。

この記事の執筆時、1994年式の106 ラリーS1がネットオークションに掛けられていた。走行距離は24万kmを超えていたが、発見した時点で5000ポンド(約78万円)での入札が入っていた。

プジョー106 ラリーS2(1998年/英国仕様)
プジョー106 ラリーS2(1998年/英国仕様)

1998年に登場したのが、ラリーS2。1996年にマイナーチェンジを受け、後期型となったフェイズ2の106がベースになっている。こちらも、ホモロゲーション・スペシャルといえる内容だった。

4気筒エンジンは、ラリーS1の1.3Lユニットを1.6Lへ拡大。最高出力は104psへ僅かに増えている。S2の車重も865kgと軽量で、充分なパフォーマンスを与えていた。

ラリーS2のサスペンションは、基本的にGTiと共有。ブレーキはラリーS1ではリアがドラムだったが、S2では前後ともディスク化されている。こちらも内装は省かれ、レーシーなスチールホイールが組まれていた。

欧州の場合、熱心なプジョー・ファンはS1を好む傾向がある。エンジンの回転フィールと、より軽いボディが理由といえる。だが、S2の方が加速はより鋭い。といっても、S1でもS2でも、現代のモデルでは得られない濃密なクルマとの一体感を味わえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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