ジャガーCタイプのレプリカ エキュリー・エコッスLM-Cへ試乗 4.2L直6で304ps

公開 : 2022.02.08 08:25

クルマとドライバーとの濃密な関係性

アクセルレスポンスは明らかにシャープ。クラッチは突然つながる。運転に慣れが必要なことは間違いない。最初は不安に感じたものの、いざ発信させてみると徐々に緊張が溶けていく。

トラクションが時々抜け、コーナーでは横方向の負荷がさほど高まることはない。これまで運転した多くのモデルと同様に、限界領域が掴みやすい。

エキュリー・エコッスLM-C(英国仕様)
エキュリー・エコッスLM-C(英国仕様)

パワーアシストのない、極めてダイレクトなステアリングには、フロントタイヤの動きが明確に伝わる。スリップアングルが増えていく様子も感じ取れる。

リアタイヤは、想像以上にグリップする。挑発的な操作をしない限り、テールエンドはフロントノーズを逆らうことなく追いかける。

アクセルペダルの踏み加減で、リアタイヤを乱すことも簡単。前後タイヤの状況を探るように、法的に許される速度域で運転を楽しめる。クルマとドライバーとの濃密な関係性を、堪能できる。

車内はCタイプより広いが、ドライバーにフィットする。内装は豪華に仕立てられ、Cタイプでは塗装された金属だったダッシュボードには、レザーが張られている。

ドライバーの正面には、大きなスピードメーターと、反時計回りに回るタコメーター。その隣に、当時の雰囲気を漂わせるタグ・ホイヤー社製のストップウォッチが2つ並ぶ。

大きなステアリングホイールはウッドリム。現代的な装備は、目立たないようにレイアウトされている。

価格は51万6000ポンド(約7998万円)

5速マニュアルのシフトレバーは、カチッとした動きと適度な重さを伴い好感触。ブレーキは前後ともにディスクで、一度強くペダルを踏めば、以降は効果的に制動力が立ち上がる。ドライビング体験は、1950年代のクラシックに期待する以上のものだ。

ヘルメットを通じても、4.2L直列6気筒は惚れ惚れするサウンドを放つ。トルクが太く、5800rpmのレッドラインまで回さずとも、幸福を感じる。

エキュリー・エコッスLM-C(英国仕様)
エキュリー・エコッスLM-C(英国仕様)

低い位置の小さなフロントガラスは、スピードが増すと雨つぶを効果的に上方へ流してくれる。もちろん、速度が低くなるとドライバーは濡れるのを避けられない。

LM-Cは、郊外への短時間のドライブを冒険に変えてくれる。もし選べるなら、雨がちの寒い天気ではなく、暖かく晴れた日に運転したいけれど。

普段の乗りやすさが、オリジナルとLM-Cとの最大の違い。フォルムはCタイプに準じているが、ナンバープレートを取得できる。日常の景色ですら、興奮するものになる。

エキュリー・エコッス社がLM-Cに設定した価格は、51万6000ポンド(約7998万円)。限定生産とはいえ、安いとはとても書けないが、正式なCタイプ・コンティニュエーションと比べればお手頃。向こうには、7桁ポンド(億単位)が付いている。

過去を上手に支配すれば、現在も支配できる。エキュリー・エコッス社の仕事は、それを証明しているようだ。

エキュリー・エコッスLM-C(英国仕様)のスペック

英国価格:51万6000ポンド(約7998万円)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:252km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1000kg
パワートレイン:直列6気筒4200cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:304ps/4940rpm
最大トルク:45.1kg-m/4450rpm
ギアボックス:5速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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