バッテリーとモーターを強化 アウディA8 L 60 TFSI e クワトロへ試乗 快適至極

公開 : 2022.02.25 08:25

加速は鋭く、驚くほど俊敏に身をこなす

乗り心地は、英国での試乗まで印象は保留としよう。フェイスリフト前のPHEV版のA8へ試乗した時は、標準装備のエアサスペンションが想像以上に多くの振動を車内へ伝えていた。今回は、少なくともドイツの平滑な路面では、不快に感じることはなかった。

試乗車が、賢明な19インチ・ホイールを履いていたことも影響しているだろう。平穏な乗り心地だったが、21インチなら変わってきそうだ。

A8のドライビング体験は、訴求力が強い。コンフォート・モードでは、ステアリングが軽すぎ曖昧さが目立つものの、スポーティなモードを選べば一気に改善する。巨大なサルーンにも関わらず、四輪操舵システムの効果と相乗し、驚くほど俊敏に身をこなす。

システム総合で462psもあるから、極めて速い。ラグジュアリー・モデルとして重要なことは、速く走らせても気張っていることを感じさせないこと。PHEVらしい、小さなエンジンと駆動用モーターの頑張りを、伝えてはいけない。

A8なら、そんな素振りをまったく見せない。リアシートに座っていると、V6エンジンが燃焼しているのかすら、感取できないことも珍しくない。

回転域が高まると唸るエンジンノイズが伝わってくるが、意図的なものだろう。快適性が損なわれることはない。

駆動用バッテリーの残量がなくなっても、パワー不足は感じられない。EVモードでの現実的な走行可能距離は、45kmほどのようだ。

値段はドイツ御三家でほぼ横並び

PHEV版のアウディA8の英国価格は、8万6960ポンド(約1348万円)から。ロングホイールベースのA8 Lでは、9万5690ポンド(約1483万円)からとなる。価格設定は、BMW 745 Leとメルセデス・ベンツS 580e Lとの中間に位置する。

といっても、このクラスの場合、オプションを少し追加すれば1000ポンド(約16万円)くらいは簡単に上下する。値段は、ドイツ御三家でほぼ横並びと考えていい。

アウディA8 L 60 TFSI e クワトロ(欧州仕様)
アウディA8 L 60 TFSI e クワトロ(欧州仕様)

選択を左右しそうなのが、ライバルの電動化技術。S 580e Lの場合、EVモードで最長101kmも走れてしまう。これは、745LeやA8L 60 TFSIeを凌駕する。

ただし、英国では税制区分が同じ。お好みの銘柄から選んで問題はないだろう。

アウディA8 L 60 TFSI e クワトロ(欧州仕様)のスペック

英国価格:9万5690ポンド(約1483万円)
全長:5320mm
全幅:1945mm
全高:1488mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:47.6-55.5km/L
CO2排出量:49g/km
車両重量:2385kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:17.9kWh
最高出力:462ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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