ジープへの闘争心が覗く フォード・ブロンコ・アウターバンクスへ試乗 並行で英国へ

公開 : 2022.02.22 08:25

自然な印象と反応でこなすコーナリング

インテリアは、いかにもタフなデザインで仕上げてある。ドライビングポジションは高めで雰囲気があるし、前方視界には、ボンネット前端のグラブハンドルが見える。

このハンドルには、ルーフへ載せたカヤックを固定するロープが通せる。リムライザーと呼ばれる、フロントガラス・ガードのワイヤーも付けられる。

フォード・ブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)
フォードブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)

車内のレイアウトは良好で、人間工学的に不自然なところはない。運転席の頭上空間には余裕がある。ドアポケットには、ネット状の小物入れが付いている。

手袋をしていても扱いやすそうなエアコンとオーディオの操作ボタンが、ダッシュボード中央に並ぶ。ゴム引き加工されていて、タッチも良い。その上には、サイズは控え目ながら、タッチモニターが据えられている。メーターパネルもモニター式だ。

キーをひねると、4気筒ターボエンジンは静かに目覚めて、上品なアイドリングに落ち着いた。ブレーキペダルを緩めると、そっとクリープ走行を始める。ブレーキやアクセルペダルの反応も良い。

低速域での扱いやすさは、オフローダーとして重要。同時に、ロンドンの混雑した市街地でも運転はしやすい。

ステアリングの重み付けは、中程度で好感触。フォード・レンジャーのように、自然な印象と反応で、コーナリングをこなせる。乗り心地は、路面からの衝撃が程よく丸められていると感じた。

冒険を楽しむための本格オフローダー

洗練性も悪くない。ただし、高速道路での快適性を求めるなら、ハードトップを装備した方が良いだろう。ソフトトップでは、路面の凹凸でボディに振動も生じるようだった。

実用性について、不満を感じる人はいないはず。これ以上に上質なSUVが欲しいなら、ランドローバーディフェンダートヨタランドクルーザーを検討するべきだろう。

フォード・ブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)
フォード・ブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)

ブロンコは、それらとは異なる。渡河深度は850mmもあり、フロント側のアプローチアングルで35.5度、ホイールベース間のブレークオーバーで20.0度、リア側のデパーチャーで29.7度もある。冒険を楽しむためのオフローダーだ。

現代的なモデルらしく、GOATと呼ばれるオフロード用ドライブモードも備わる。どんな地形でも走破する、という意味の略語だが、常に最高という意味も含まれているとか。

クライヴ・サットン社は英国で型式認証を取得し、2年間の保証も付けてくれる。正規ディーラーのクルマと同じように、気軽に乗れるはず。

肝心のお値段だが、スペックに応じて4万5000ポンド(約697万円)から8万5000ポンド(約1317万円)の間になるという。今回の試乗車には、7万5000ポンド(約1162万円)が付いていた。

ジープラングラーよりかなり高い。ランドローバー・ディフェンダー・クラスなのだから。だが、6万ポンド(約930万円)のラングラー・ルビコンもある。珍しいブロンコに乗るという価値も加算されると考えれば、法外とはいえないだろう。

ソロバンを弾いてはいけない。アドベンチャー・オフローダーは、そもそも合理的に考えて買うクルマではないと思う。

フォード・ブロンコ 2.3エコブースト・アウターバンクス(英国仕様)のスペック

英国価格:7万5000ポンド(約1162万円)
全長:4810mm
全幅:1928mm
全高:1854mm
最高速度:193km/h(予想)
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
燃費:9.9km/L(予想)
CO2排出量:−
車両重量:2045kg
パワートレイン:直列4気筒2261ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:274ps/5500rpm
最大トルク:42.6kg-m/3500rpm
ギアボックス:10速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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