シトロエンの小型SUV、どう変わったのか? 改良新型「C3エアクロスSUV」試乗

公開 : 2022.02.24 19:15

シトロエン「C3エアクロスSUV」が、マイチェンで新しい顔に。シート/内装、エンジンスペックにも変更点が。試乗して確かめましょう。

マイナーチェンジの見所は?

今年1月に新型C4を日本に導入したシトロエンは、並行して既存車種を新しい顔に移行させる作業を進めている。

具体的には2016年のパリモーターショーで発表されたコンセプトカーCXPERIENCEが提案した、ダブルシェブロンから伸びるバーの両端がV字に開き、上下2段のヘッドランプにつながるスタイルの展開で、C3に続いてC3エアクロスSUVにも投入された。

改良新型C3エアクロスSUVシャイン・パッケージ(カーキグレー)
改良新型C3エアクロスSUVシャイン・パッケージ(カーキグレー)    前田惠介

ちなみにこのモチーフは新型C4はもちろん、続いて上陸が予定される新型C5、C5エアクロスSUVのマイナーチェンジモデルにも用いられている。

新しい顔の投入に合わせて、グリルの部分は縦のアクセント基調に変わって、SUVらしい逞しさを手に入れた。

サイドではリアクォーターウインドウのグラフィックが、BXを思わせるブラインド風からC型に変わり、視認性が向上した。

5色用意されるボディカラーの中では、取材車もまとっていた新色のカーキグレーに惹かれた。

カーキを名乗るが他のSUVのそれほど強烈ではなく、単純なグレーでもないフランスらしい色調で、おしゃれなクルマに見せていると感じた。

シートが快感 内装の注目点

シートのみならずインパネやドアトリムの一部もファブリックで覆って暖かさを演出したインテリアは、インパネやシートのオレンジのアクセントが消え、シートはブラックのテップレザー主体になったことで、落ち着きが増した。

テップレザーとファブリックの境目にベージュの帯とダブルシェブロンのステッチを入れてシトロエンらしさを表現した前席は、新型C4にも採用されたアドバンストコンフォートシートを装備している。

改良新型の前席は、アドバンストコンフォートシートに。内装では、パーキングブレーキのレバー形状が変わり、2つ分のカップホルダーを新設。
改良新型の前席は、アドバンストコンフォートシートに。内装では、パーキングブレーキのレバー形状が変わり、2つ分のカップホルダーを新設。    前田惠介

ふっかりした着座感は、快適を通り越して、快感と呼びたくなるほど。個体差もあるだろうが、少し前に接したC3、最近乗ったE-C4よりソフトな感触だった。

後席は6:4分割で折り畳みだけでなく前後スライドやリクライニングまでできるという凝った構造だ。

試乗車は上級グレードのシャインパッケージで、パノラミックサンルーフを装備していたが、スライドを最後方にセットし、背もたれをやや後傾させれば、身長170cmの僕でもリラックスできる空間が得られる。

積載性・出力アップについて

逆に前にスライドさせれば、通常でも410LとBセグメントのSUVとしては広い荷室空間を、520Lまで広げられる。

さらに後席の折り畳みは、背もたれを前に倒すと連動して座面が沈みこむタイプなので低く格納可能で、1289Lものスペースが出現する。

トランクの後席片側を倒した状態。フロアボードを調整すれば、たたんだシートバックの高さに床面を合わせられる。
トランクの後席片側を倒した状態。フロアボードを調整すれば、たたんだシートバックの高さに床面を合わせられる。    前田惠介

背の高さを生かして多彩な用途に使える空間を用意したという点は、僕も若い頃に愛車にしていたあの2CVを思わせるものだ。

1.2L直列3気筒ターボエンジンと6速ATで前輪を駆動するというパワートレインはマイナーチェンジ前と共通。

ただし最高出力は110psから130ps、最大トルクは20.9kg-mから23.5kg-mと、一部の特別仕様車に先行搭載されたスペックにアップグレードしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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