クワトロの40年 後編 隔世のメカニズム 共通性のある走り 手軽に扱える高性能こそクワトロの本質

公開 : 2022.03.05 13:26

40年続く『クワトロ』という共通認識

路面状況への適応能力という点では、E−トロンGTはほぼすべてのEVすら凌ぐほどだ。さすがのオリジナル・クワトロも、その点では及ばないが、それでも、ヒーロー気分でドライビングできる。たとえ、最新モデルのほうがシャープにターンインするとしても、その気になれることこそが重要だ。

E−トロンGTは、トルクベクタリングのおかげで、かなり重いクルマでありながら、自分を中心に旋回し、リアが活発にアペックスへ飛び込んでいこうとするフィールを実感できる。その点は、多少ながらクワトロと同じだ。どちらも思った以上に、リアがコーナリングへ関わってくる。

クワトロと聞けば、クルマに興味のあるひとならばアウディの高性能モデルを思い浮かべる。40年にわたり培われたその共通認識こそ、クワトロのヘリテージなのだ。
クワトロと聞けば、クルマに興味のあるひとならばアウディの高性能モデルを思い浮かべる。40年にわたり培われたその共通認識こそ、クワトロのヘリテージなのだ。    LUC LACEY

予想していたのは、この試乗で40年の隔たりと、数知れぬテクノロジーの発展が明確になることだった。にもかかわらず、われわれが今回の2台に共通点があることを即座には否定できずにいるという事実が、多くのことを物語っている。

これがBMWで、1980年代の4WDモデルと現代のxドライブだったとしても、同じような関連性を見出すかもしれない。しかしアウディは、クワトロというヘリテージを築き上げ、それにこだわり続けてきた。

やはり、クワトロという言葉は、そこに特別な意味合いが込められたものだ。「アウディ買ったの?クワトロ?」などという会話が成り立つほどに。こうした共通認識が、40年変わらずあり続けているというのがすごいことではないか。

新旧クワトロのスペック

アウディ・クワトロ(英国仕様)
英国価格:1万5037ポンド(新車価格・当時のレートで約827万円)
4万ポンド(現在の相場価格・約620万円)〜
全長:4404mm
全幅:1723mm
全高:1344mm
最高速度:222km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:9.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1287kg
パワートレイン:直列5気筒2144ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:200ps/5500rpm
最大トルク:29.0kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速MT

アウディE−トロンGTクワトロ・ヴォルスプラング
英国価格:10万6000ポンド(約1643万円)
全長:4989mm
全幅:1964mm
全高:1396mm
最高速度:245km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:4.7-5.0km/kWh
CO2排出量:0g/km
車両重量:2276kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター×2
使用燃料:−(電気)
最高出力:530ps
最大トルク:65.3kg-m
ギアボックス:2速リダクションギア

まったく異なるメカニズムでも、根底にあるキャラクターには類似性が見出せる。そしてどちらも走らせるのがうれしくなる。クワトロの遺伝子は、最新EVにも受け継がれている。
まったく異なるメカニズムでも、根底にあるキャラクターには類似性が見出せる。そしてどちらも走らせるのがうれしくなる。クワトロの遺伝子は、最新EVにも受け継がれている。    LUC LACEY

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