軽キャンパー大変化! キャンピングカー「構造要件」21年ぶり大改訂 8ナンバー取得しやすく 新旧の違い/背景は

公開 : 2022.03.16 19:15  更新 : 2022.03.25 18:48

室内高の規定も柔軟に 40cmの変化は大きい

また、今回の改訂では室内高の規定も大幅に緩和されている。

以下でじっくりと見ていこう。

まずは旧規定から。

洗面台や調理台を利用するスペースの室内高は床面から上に160cm以上を確保する

洗面台や炊事設備調理台の上面が床面から上方に85cm以下であれば120cm以上を確保

つまり……?

これは洗面台や調理台などキャンピングカーの構造要件に必要な設備が85cm以下の高さであれば、室内高が160cm→120cmを確保すればよいという意味。

40cm低くなったことで、恩恵を受けるクルマも多くなるだろう。

具体的に今回の構造要件の変更で影響を受けるキャンピングカーとは?

もちろん、8ナンバー登録のキャンピングカー全体に関わる構造要件なので、どのようなクルマがベースであっても就寝定員や室内高の高さなどが「緩和」されるわけだが、ざっくり言えば、ベース車が小さいクルマほどありがたい改訂になると思われる。

つまり、軽ワンボックスや小型ミニバンなどである。

製造業者はどう感じているのだろうか? 話を聞いた。

キャンピングカー製造業者「自由度が広がる」

「軽キャンパーにとっては、歴史的快挙! ともいえる改訂です。軽は乗車定員が4名でこれまでは最低でも就寝定員2名分のベッドスペースを確保しなくてはいけませんでした」

「それが撤廃されて就寝定員1名でも8ナンバー登録が可能になることで車種やレイアウトの自由度が広がります」

「そして、シンクや洗面台前の室内高についてもこれまでは基本160cm以上の高さが必要でしたが、これがシンクや洗面台の高さがJIS規格の85cm以下であれば、120cm以上に緩和されました。(なお、キャンピングカーの洗面台や炊事設備の多くは75cm以下)」

「120cmであれば、軽ワンボックスのノーマルルーフ仕様であっても確保できるので、8ナンバー登録が難しかったり、手間が掛かったりする車種が大幅に減るメリットがありますね」

ところでなぜ、このタイミングでキャンピングカーの構造要件が改訂されることになったのだろうか?

管轄する国土交通省自動車整備局に聞いてみた。

なぜ今、構造要件が改訂されることになった?

「構造要件については平成13年から現在の通達になっています。それ以前も『就寝定員が乗車定員の3分の1』という条件はありましたが、指導要領程度の基準であり正式に構造要件として扱われることになったのは平成13年でした」(国土交通省自動車整備局)

「その当時は大型のキャンピングカーを想定した基準でした」

「しかし、この20年でキャンピングカーの使われ方も随分と変化があり、都市圏に住んでいる方々が自然の中でゆったり過ごすときにキャンピングカーを使うケースも増えています」

「その場合、あまり大きなキャンピングカーでは保管場所を探すのも大変ですし都市圏の狭い道路では移動も困難になりそうです」

「そこで、これまでは8ナンバー登録が難しかった軽自動車など小さめの車両をベースにしたキャンピングカーを想定して、就寝定員や室内高などの構造要件を緩和することにしました」

「ただし、特種用途車として8ナンバー登録する場合、特種用途のための専用設備を小さく(少なく)しすぎると、ただの乗用車や貨物車と変わらなくなってしまいます」

「キャンピングカーとして使うための基本の設備について業界団体と検討した結果、今回の改訂に至りました」

前述したキャンピングカーの製造業者によると、オーナーからの要望も少なからずあったという。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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