この見た目でナンバー付き! プロドライブ・ハンターへ試乗 ダカール・マシンを公道で 後編

公開 : 2022.04.03 08:26

目的に対しての妥協は一切なし

ベンチで居眠りしていても、サウンドは聞き逃さないはず。いかにも豪腕で、容赦ない轟音を放つ。心に響く音色ではないが、とにかくやかましい。

ステアリングホイールは、比較的軽く回せる。市街地のスピードでも扱いやすく、走り始めれば6速シーケンシャルMTはクラッチ操作が不要。滑らかに変速できる。

プロドライブ・ハンター・公道仕様プロトタイプ
プロドライブ・ハンター・公道仕様プロトタイプ

400mmもストロークのあるサスペンションは、公道仕様の方が優れているそうだが、乗り心地は褒めにくい。17インチ・ホイールに、外径が37インチもあるBFグッドリッチのタイヤが組まれている。ブロックパターンは大きく、ノイズも盛大だ。

小回りは、まったく利かない。2.3mの全幅と相まって、交差点では歩道の縁石に乗り上げそうになる。

最初は、この場違い感が楽しかった。ものすごく。同時に、別の場所が適切だということも常に感じた。スーパーカーを運転している時以上に。庭のプールで、水上バイクに乗っているようなものだ。

コンパクト過ぎるクルマも、シティカーとして肩身が狭い時がある。BMW 3シリーズと同等の全長だとしても、ハンターで渋滞に巻き込まれるより、レザー内装の車内で過ごした方が気分が良いことは間違いない。

とにかく、トラブルを起こす前にクルマを返すことができて良かった。これほど神経を使った試乗も珍しい。

プロドライブ・ハンターは、ダカール・ラリーで勝つために作られたオフローダーだ。目的に対して一切の妥協がないとは、確実にいえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

この見た目でナンバー付き! プロドライブ・ハンターへ試乗 ダカール・マシンを公道での前後関係

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