ホンダ新型「シビックe:HEV」は、どんな走りなのか? ハイブリッド車を発売前に調査

公開 : 2022.04.14 10:03

日本導入が待たれるホンダ・シビック「e:HEV」仕様。クローズドコースで試乗することができました。ガソリン車と比べてレポートします。

シリーズ式であり、パラレル式でもある

ホンダシビックのガソリン・エンジンモデルはすでに発売中で、その爽快な走りは確認済みだが、今回、ハイブリッドの「e:HEV」モデルが登場する。

いままでにもさまざまなハイブリッドシステムを展開してきたが、今後は2モーターの「e:HEV」に集約するという。

新型ホンダ・シビックe:HEVと筆者。「H」マークにはブルーのアクセントカラーが入る。
新型ホンダ・シビックe:HEVと筆者。「H」マークにはブルーのアクセントカラーが入る。    ホンダ

そのホンダ独自のハイブリッドシステムの特徴を簡単に説明しておこう。

発電用モーターと走行用モーター、2つのモーターを備える。

発進時・市街地走行など、エンジン効率の悪い領域は、エンジンを停めてモーターでの走行に。力強い加速時は、エンジンで発電しモーター走行となる。

つまり、エンジンは駆動せず発電だけをするシリーズ方式となるわけだ。

そして、中・高速域ではクラッチによりエンジンからタイヤまでをメカニカルに直結させ、エンジン駆動での走行となり、高負荷になると走行用モーターがアシストする、というパラレル方式となる。

エンジンは、新開発2L自然吸気ユニット

クラッチにより、エンジンで駆動させることができ、効率などを考慮してエンジンの使用用途を自動で切り替え、EV、シリーズ方式、パラレル方式での走行が可能であることが、ホンダ独自の2モーター・ハイブリッドシステムだ。

たとえば、純粋なシリーズ方式だと強加速時や高速走行時にエンジン回転数があがり、エンジンの不得意領域となって燃費が悪くなる。そして、回転数が上がると静粛性も損なわれる。

「e:HEV」のエンブレムがハイブリッド仕様の証。リアバンパーガーニッシュは、現行シビックEXと形状が異なる。
「e:HEV」のエンブレムがハイブリッド仕様の証。リアバンパーガーニッシュは、現行シビックEXと形状が異なる。    ホンダ

が、e:HEVは回転数を上げることなく加速できるので、効率、静粛性が保たれる。

高効率で賢いハイブリッドシステムなのだが、そもそも、搭載される新開発の2L直噴エンジンが41%という熱効率を達成しており、高回転/高出力領域での燃費向上が図られたからこそ実現できたともいえる。

電動化を進めながらも内燃機関も攻めた開発をしているところがホンダらしい。

エンジン出力は141ps/18.6kg-m、走行用モーターは182ps/32.1kg-mで、2モーター内蔵電気式CVTを備える。

試乗ステージは伊豆サイクルスポーツセンターだ。

e:HEV版シビック どんな感じ?

ここはアップダウンがキツくコーナーも多いので、動力性能やハンドリングを確認するのに適しているコースだ。

ただし、クローズドとはいえスキール音やブラックマークはNGなので、限界域ではなく、市街地やワインディングを想定しての走りの評価となる。

e:HEVのシビックは、ミラーハウジングの上部、サイドウインドウ・サラウンド、フロントノーズの先端がグロスブラック。
e:HEVのシビックは、ミラーハウジングの上部、サイドウインドウ・サラウンド、フロントノーズの先端がグロスブラック。    ホンダ

“効率の良さ”やシステムの独自性はプレゼンテーションで理解していたが、実際に走ってみると、e:HEVは、走行フィールも非常に洗練されていた。

そもそも電動で走る領域が多いので、加減速時もシームレスな走りを味わえる。また、急な登坂でもエンジンがかかることなく走れた。

そして、エンジンがかかった際も音や振動などのビジー感がない。さらに、パワーメーターの見せ方も一工夫あり、視覚的なビジー感も低減されている。

そして、静粛性の高さも印象的だ。エンジンのクランク剛性アップが図られ、重量は増すが、遮音材を多用するより効率が良いそうだ。

さらに、エンジン回転数が2200~2300rpmと効率の良い回転数をキープし、ガソリン車と同じ速度でもe:HEVの方がエンジン回転数が低いため、静粛性も高くなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐藤久実

    Kumi Sato

    大学在学中にレースデビューし、耐久レースをメインに活動。ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースで入賞を果たす。モータースポーツで培ったスキルをベースにインストラクターとしても活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師の経験あり。日本カー・オブ・ザ・イヤー、World Car Awards、日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める。

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