速くてもジェントル 「アストン マーティンDBX707」 707馬力の新型SUV試乗

公開 : 2022.04.15 21:48  更新 : 2022.04.15 22:15

アストン マーティン「DBX707」が日本上陸。これに先駆けて欧州で試乗をしてきた飯田裕子さんが、707馬力の走りをレポートします。

アストンの新たなSUVに出会う

不安と好奇心。

情熱と美しさを五感で味わえるアストン マーティンが世界最速のSUVを登場させると聞いて、単に“速さを主張するモデル”になっていたらという不安が無かったかと言えばウソになる。

アストン マーティンDBX707(欧州仕様)と筆者
アストン マーティンDBX707(欧州仕様)と筆者

結果から先に申し上げると、「DBX707」というアストン マーティン作のSUVを通して、改めてアストン マーティンのスポーツカーの車両開発ポリシーに二度惚れさせられてしまった。

アストン マーティンの100年を超える歴史上、初めてのSUVとして2019年に登場したDBXはSUVであっても静的/動的にも紛れもなくアストン マーティンだった。

接着アルミニウム構造技術を活かした専用のプラットフォームを採用し、eデフや48Vアンチロール・エレクトリックダンパーなどを採用するAWDモデル。

500ps/700Nmを発揮するAMG製4L V8ツインターボエンジンを搭載した、ファストバックルックスタイルもインテリアも美しいDBXはすでにスポーツカー/ラグジュアリーブランド界において特別なSUVだったと言ってもいいと思う。

そして今年2月に発表されたDBX707はその名の“707”を最高出力の707馬力から取ったもので、707ps/900Nmを発揮する“世界で最もパワフルでラグジュアリーなSUV”として登場した。

目指すはパフォーマンスSUVの頂点だ。

100km/hまで3.3秒、最高速310km/h

DBXと同じ4L V8ツインターボに、耐久性やレンスポンスに優れるボールベアリングターボチャージャーを採用し、トランスミッションは9ATという点ではDBXと変らないが、DBX707には大トルクに対応する、軽量のクラッチプレートを備えた湿式多板クラッチ式9ATを採用している。

大トルクを受け止めてくれるATのおかげでローンチコントロール・システムも搭載された。

アストン マーティンDBX707
アストン マーティンDBX707

ブレーキシステムはサイズアップもはかったカーボンセラミック製が標準装備となる。タイヤサイズはスペックシートには22インチのピレリPzeroがスタンダートと表記されていたが、試乗車はオプションの23インチが装着されていた。

ちなみにこのサイズ設定は既存のDBXも同じで、DBX専用開発を表す“A8A”の認証マークがあり、真ん中の“8”は既存のDBXと変らない。

どうやらハイパワー化が計られてもタイヤへの性能依存は行われていないと察することができる。それであんな走りができちゃうのだから、凄い!

ちなみにDBX707のボディサイズ(全長5039×全幅1998×全高1680mm)、さらに車重の2245kgまでも、DBXと同数値に抑えられている。

そのパワーウエイトレシオは314ps/tとなり、読者の皆さまが想像されるライバルたちのなかでも最も大きなパワーを発揮するモデルとなる。0-100km/h加速3.3秒というのはカイエンターボと並ぶが、最高速の310km/hはライバル中、最速となる。いずれにしてもSUVのスペックとは思えない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    飯田裕子

    Yuko Iida

    免許を取るまではクルマにまったく興味がなかった女子だったが、山に囲まれた実家の近くは折しも峠ブーム。ドライビングやスポーツカーへの興味を抱くようになる。自動車メーカーでOLをしながら弟(飯田章)とレース活動をスタート。退職後「クルマ×人(中心)×生活」をテーマとするジャーナリストに。現在の愛車はポルシェボクスター(981)

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