フェラーリ・エンジンの優雅なサルーン マセラティ・クアトロポルテ 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.04.29 08:25

美しいボディに、フェラーリ譲りのエンジンを載せた5代目クアトロポルテ。英国編集部がその魅力をご紹介します。

F430の派生エンジンに美しいボディ

イタリアンな美しいボディで身を包んだ、マセラティクアトロポルテ。長い歴史を知っていれば、名前だけで思わず惹かれてしまう4ドアサルーンだ。なかでも傑作といえたのが、2004年に発売された5代目だった。

現在の中古車市場なら、手頃な価格で5代目クアトロポルテを探すことができる。思わずポチッとクリックしたくなるのは、筆者だけではないだろう。

マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)
マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)

ピニンファリーナ社によるスタイリングは、見惚れるほどに妖艶。フロントに収まるオールアルミの自然吸気4.2L V8エンジンは、素晴らしく豊かなサウンドを響かせ、7000rpmまで吹け上がる。

このV8エンジンは、フェラーリF430へ搭載されたユニットの派生版。家族で乗れるフェラーリとして楽しむのも悪くない。

最高出力は400psを誇り、0-100km/h加速を5.0秒でこなした。最高速度は、275km/hが主張されていた。ファミリーカーとしては充分以上に速い。素晴らしい音響は、情操教育にも良いかもしれない。

ただし、当初のトランスミッションは6速セミ・オートマティック。信頼性に欠ける、デュオセレクトと呼ばれるモノが載っていた。トランスアクスル・レイアウトで、マニュアル・モードでは清々しい変速を楽しめるが、機械任せでは気を揉むかもしれない。

2007年からは、扱いやすいZF社製の一般的なATも投入されている。だが、2005年に新グレードとしてエグゼクティブGTとスポーツGTが登場したが、後者にはデュオセレクトが残った。走りにフォーカスされた、低く硬いクアトロポルテだ。

魂を売るほど傾倒する可能性も?

2008年にフェイスリフトを受け、新しいフロントグリルにヘッドライト、ドアミラーを獲得。インテリアでは、センターコンソールが一新されている。

同時期には、スポーツGT Sも登場。V8エンジンは、上級グレードで4.7Lへ排気量が増やされた。こちらは最高出力440psを発揮し、0-100km/h加速は5.0秒を切っている。

マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)
マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)

グレードを問わず、クアトロポルテは操縦性が出色だった。ステアリングは正確で、コーナリングは驚くほどニュートラル。プッシュしても安定性が保たれた。テールを外側に降り出すことも難しくない。筆者の経験では、手懐けやすいと思う。

反面、乗り心地はいまひとつ。トルクコンバーター式ATの採用に合わせて、若干良くなっているけれど。

スタイリングが魅力的だと感じたら、インテリアも眺めて欲しい。広々とした空間は、沢山のウッドと柔らかなレザーで仕立てられている。スイッチ類が整然と並び、シートの座り心地も良い。イタリアン・ラグジュアリーに浸れる。

信頼性は、あまり期待しない方が良い。維持費も安くない。筆者のいとこ、ケビンは愛車のクアトロポルテに掛かる費用を抑えるため、フランスへ移住してしまった。

先が3本に別れたモリ、トライデントのエンブレムが勇ましいクアトロポルテには、表現しがたい魅力がある。魅了されてしまったら、魂を売るほど傾倒してしまう可能性もゼロではないので、ご注意を。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

マセラティの人気画像