フェラーリ・エンジンの優雅なサルーン マセラティ・クアトロポルテ 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.04.29 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

ここまで魅力的でありながら、同時に残念だと感じるクルマも珍しい。トランスミッションは冴えず、乗り心地も落ち着きがない。ブレーキの感触も褒めにくい。

エンジンはこのクラスで出色。クアトロポルテを運転したいと思える最大の理由だ。信頼性的に、いつでも運転できるとは限らないけれど。BMW M5やメルセデス・ベンツ E55 AMG、ジャガーXJR並みに良いとまではいいきれない。 (2005年3月29日)

マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)
マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)

専門家の意見を聞いてみる

ジェームズ・ウィーラー氏:マクグラス・マセラティ社代表

「クアトロポルテの良い点は、悪い点を遥かに上回ります。美しいボディの内側には、最高のサウンドを放つV8エンジンが搭載されています。状態が維持されていれば、操縦性も素晴らしいものです」

「適正にメンテナンスを続けていれば、信頼性も悪いとはいえません。購入する場合は、しっかり手入れされてきたクアトロポルテを選びたいところですね」

購入時に気をつけたいポイント

トランスミッション

初期のデュオセレクトの場合、変速時にエンジンの回転数が過度に上昇しないか、適正にギアを選択できるか、予め確かめたい。部品の摩耗を示していたり、重大な不具合へつながることがある。

クラッチの寿命は2万kmほど。交換には英国で2000ポンド(約34万円)ほど必要。

エンジン

マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)
マセラティ・クアトロポルテ(5代目/2004〜2012年/英国仕様)

なにより、マセラティの正規ディーラーか専門ショップで、しっかりメンテナンスされてきたかどうかが重要。定期点検は、英国仕様の場合は約1万km毎に指定されている。

ボンネットを開き、カムカバー・ガスケットやフロント側のクランクシャフト・オイルシール付近からオイルが滲み出ていないか確かめる。エアフローメーターの故障で、エンジンが不調に陥ることもある。

ステアリングとサスペンション

初期のクアトロポルテでは、アンチロールバーのドロップリングやサスペンション・スプリングの破損、ダンパーの不調などが珍しくない。アライメントが乱れやすく、タイヤの偏摩耗もチェックポイント。

ステアリングは、ラック付近からのフルード漏れや、過度に遊びが大きくないか確かめる。パワーステアリング・ポンプの状態も確認したい。

ボディとホイール

基本的にボディは錆びにくいものの、飛び石キズなどを放置していると、そこから広がる。フロント・サブフレームが錆びやすいものの、それ以外は比較的安心できる。

ドアの開閉に関するリコールが2006年に出ており、ドアハンドルの交換が必要になる。トランクリッドにはソフトクローズ機能が付いている。その動きも確かめたい。

華やかなアルミホイールは、ガリ傷が付きやすい。修正には多額の費用が必要になる。

インテリア

若干古びていたとしても、ゴージャスに見える。レザーは柔らかく、簡単に擦り切れる。

グローブボックスのラチェットが壊れやすく、しっかり閉まるか確かめる。パワーウインドウやヘッドライトなど、電装系の動作も事前にすべて確認したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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