往年のラリーキングを復刻 MST Mk1へ試乗 現代版フォード・エスコート RS1600 後編

公開 : 2022.05.24 08:26

MST社が巧みに復刻した、フォード・エスコートMk1のラリーマシン。英国編集部は、素晴らしさに心が奪われたようです。

公道用NA 2.0L直列4気筒で253ps

MST Mk1が搭載する、自然吸気2.0L直列4気筒、BDGエンジンのレブリミットは9000rpm。公道仕様の場合、最高出力は8000rpmで253psを発揮する。競技仕様なら284psになるとのこと。

MST Mk1が積むユニットは、当時のエスコートが搭載していた1.6LのBDAや1.7LのBDBより排気量が大きいが、技術的には繋がりがあるという。近年、オリジナルのエスコートがラリーイベントで用いているエンジンの1つでもある。

MST Mk1(英国仕様)
MST Mk1(英国仕様)

もし不足だというなら、ミリトン・レーシング・エンジン社製のダイヤモンド・ユニットを搭載し、355psのMST Mk1を作ることも可能。シーケンシャルMTも組めるそうだ。

「わたし達に難しいのは、往年のクロスフロー・エンジンやピント・エンジンを搭載すること。現在の英国の型式認証を得られないのです」。と、MST社のカーウィン・エリス氏が説明する。

インテリアは、50年前のラリーカーを2022年に運転しやすいよう、気が配られている。オーナーが希望すれば、より快適なシートと3点式シートベルト、ロールケージのないシャシーを指定することもできる。

このデモ車両には、MSTのロゴが入った深いレーシング・バケットシートと、がっしりしたパイプが張り巡らされていた。レーシング・ハーネスも装備できる。ステアリングホイールは小径で、アルカンターラが巻かれている。

ドアパネルと天井の内張りも、アルカンターラ。フロアにはカーペット、ダッシュボードのレザーにはステッチが施してある。ソニーのインフォテインメント用タッチモニターも据えられていた。

気持ちをソソるインテリアとサウンド

MST Mk1の英国価格は、11万4000ポンド(約1903万円)から。しばしばAUTOCARに登場する、最近のレストモッド事例よりはお手頃といえる。インテリアは価格にふさわしい、質感への配慮を感じる。シリアスなラリーカーとして、明確な意図もある。

身長が約190cmある筆者でも、ドライバーズシートは快適。人間工学的にも不満はない。オリジナルのエスコート Mk1とは、明らかに異なる。

燃料計のほかに、電圧計と油圧計が並んだパネルが気持ちをソソる。5速MT用のシフトレバーは樹脂製。デザインは至ってシンプルだ。

3枚のペダル配置は、適度にタイトで理想的。シフトダウン時は、ブレーキペダルを軸にアクセルペダルを絶妙にあおれる。

MST Mk1を確かめるには、相応の運転が不可欠。道の線形と地形に集中し、タコメーターとスピードメーターへ目を配り、確実に操ることで初めて報われる。

スーパーカーを買えるような富裕層のなかにも、オールドスクールなラリーカーで、アナログなドライビング体験をたしなみたいという人がいる。MST Mk1は、まさにその理想形だろう。

エンジンとエグゾーストのノイズはけたたましい。4000rpm程度でも、耳栓が欲しいと思わせる。

クラッチペダルは重く、ひと癖ある。ブレーキペダルを踏み込むには、小さくない力が求められる。ステアリングホイールは、走り出しても重い。電動機械式パワステが付いているというが、殆ど実感はない。5速MTのシフトレバーは、メカニカルで正確だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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