世界の愛好家から注目される貴重な「廃車」 40選(前編) ジャンクヤード探訪記

公開 : 2025.09.28 11:05

米国の巨大ジャンクヤードを巡り、スクラップ同然のクルマにレンズを向ける探訪記シリーズ。今回は、世界中のクラシックカー愛好家にとって「聖地」とも言える廃車解体場で見つけた1940~80年代の逸品を紹介します。

米国最大級のジャンクヤード

1956年の創業以来、『フレンチレイク・オートパーツ(French Lake Auto Parts)』は米国有数の廃車解体場として名声を確立し、「ジャンクタウンUSA」という愛称で親しまれてきた。今や世界中のクラシックカー愛好家にとって必見の場所となっている。

ミネソタ州にあるこの広大なジャンクヤードには、1920年代から現代まで数千台の車両が保管され、レストア用あるいは部品取りとして製造年ごとに丁寧に整理・分類されている。フレンチレイク・オートパーツクは配送サービスも提供しているが、実際に足を運んで探索する体験に勝るものはない。

米国でも有数の巨大ジャンクヤードから、興味深い「逸品」を紹介する。
米国でも有数の巨大ジャンクヤードから、興味深い「逸品」を紹介する。

わたし達取材班が見つけた、興味深いクルマをいくつか紹介しよう。

フレンチレイク・オートパーツについて

ここフレンチレイク・オートパーツを訪れた人は、歴史あるクルマがずらりと並ぶ中を歩き回り、整然と配置された部品の中から隠れた逸品を見つけ出すことができる。クラシックカーのファンなら、少なくとも一度は訪れる価値のある場所だ。

このジャンクヤードについては以前も取り上げたことがある。詳しくは、2024年12月28日に掲載した記事【旧車愛好家の「聖地」で眠る珍しい廃車 40選 ジャンクヤード探訪記】をお読みいただきたい。

フレンチレイク・オートパーツはミネソタ州アナンデールにある。
フレンチレイク・オートパーツはミネソタ州アナンデールにある。

AMCマーリン(1967年)

AMCマーリンは、その海洋を思わせる名前が印象的だが、最初からこの名で呼ばれていたわけではない。当初はランブラー・ターポンとして販売されていたが、速く優雅に泳ぐマーリン(カジキ)にちなんでブランド名を変更し、スピード感と優美なイメージを強調した。流線型のファストバックデザインは確かにその名に恥じないもので、1960年代中盤のマッスルカーとは一線を画す存在だった。

自動車業界に波紋を広げたものの、AMCが期待したほどの販売成功には至らなかった。この個体は超希少な1967年式で、同年は生産最終年ということもあり、わずか2545台しか販売されなかった。

AMCマーリン(1967年)
AMCマーリン(1967年)

ラサール(1940年)

ラサールはゼネラルモーターズ(GM)傘下のブランドで、キャデラックと低価格ブランドとの間を埋めるものとして設立された。1940年にはブランド史上2番目の販売台数となる2万4133台を記録した。しかし、こうした成功もブランド存続には至らず、GMは1940年末をもってラサールの生産終了を決定。13年にわたる歴史に幕を閉じた。

ラサール(1940年)
ラサール(1940年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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