世界の愛好家から注目される貴重な「廃車」 40選(後編) ジャンクヤード探訪記

公開 : 2025.09.28 11:25

米国の巨大ジャンクヤードを巡り、スクラップ同然のクルマにレンズを向ける探訪記シリーズ。今回は、世界中のクラシックカー愛好家にとって「聖地」とも言える廃車解体場で見つけた1940~80年代の逸品を紹介します。

キャデラック(1959年)

この特徴的なテールライトがどのクルマのものか、推測するのは簡単だろう。もちろん1959年のキャデラックだ。ロケットのようなこの象徴的なテールフィンは、戦後の米国車の過剰なデザインの極致であり、当時の華やかなムードを完璧に捉えていた。地面から約1.2mの高さにそびえ立つテールフィンに、ジェットエンジンの排気口を思わせる弾丸型のツインテールライトを組み合わせている。これは宇宙旅行や未来的なデザインに対する当時の国民の憧れを反映するものだ。

クロームと過剰デザインの全盛期であり、キャデラックの斬新なフィンは威信と豪華さを紛れもなく主張する存在であった。

キャデラック(1959年)
キャデラック(1959年)

フォード・サンダーバード(1965年)

60年近く経った今もこのように美しさを保っていることから、この1965年式フォード・サンダーバードは明らかに大切に扱われてきたことがわかる。かつての所有者が錆の進行を抑えようと努力したにもかかわらず、腐食を止めることはできずに深刻化してしまったようだ。

第4世代のサンダーバードは1964年にデビューしたが、当初計画されていた主要な装備の一部は1965年まで採用されなかった。それはディスクブレーキや、特徴的なシーケンシャルウィンカーなどだ。

フォード・サンダーバード(1965年)
フォード・サンダーバード(1965年)

ハドソン・ホーネット(1955年)

鮮やかなピンクと白のツートンカラーが目を引くこのハドソン・ホーネット・ホリデー・ハードトップは、全盛期には人々の注目を集めたに違いない。しかし、長年の酷使や放置を経て、今やその姿は大きく変わってしまった。

これは1955年式、2代目ホーネットの初期モデルだ。先代とは異なり、「ステップダウン」プラットフォームではなくナッシュの設計を基に開発された。当時は直列6気筒またはV8エンジンから選択可能だったが、この個体ではすでに取り外されている。

ハドソン・ホーネット(1955年)
ハドソン・ホーネット(1955年)

ダッジ・コロネット(1958年)

リアサスペンションが壊れ、タイヤもパンクした1958年式ダッジ・コロネット4ドア・セダンは、今や巨大なリアオーバーハングをミネソタの土の上に横たえている。コロネットはエントリーモデルであり、3.8L 6気筒エンジンを搭載し、新車当時はわずか2410ドルで販売されていた。

その上位にはロイヤルとカスタム・ロイヤルが位置し、最上級モデルのリーガル・ランサーも同年の春にデビューした。

ダッジ・コロネット(1958年)
ダッジ・コロネット(1958年)

デソート・ファイアドーム(1953年)

1952年に発売されたファイアドームはデソートのフラッグシップモデルで、4種類のボディスタイルが用意され、ヘミV8エンジンを標準装備していた。最高速度は約160km/hに達し、0-97km/h加速は13秒未満であった。

青色の塗装と比較的錆の少ないボディが特徴で、周囲の茶色一色のクルマの中でひときわ目立つ存在だ。1953年に生産された4ドア・セダンは6万4211台で、そのうちの1台である。

デソート・ファイアドーム(1953年)
デソート・ファイアドーム(1953年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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