M3級の動力性能を欲する人へ BMW X3 Mへ試乗 カテゴリー最上位の走り 小変更

公開 : 2022.06.05 08:25

BMWのミドルサイズSUVを、M社がチューニングしたX3 M。フェイスリフト版を英国編集部が評価しました。

小変更で0-100km/h加速を0.3秒短縮

細かい部分ながら、筆者はBMW X3 Mに与えられたMスタイルのドアミラーが好きだ。通常のX3とは違うということを、運転席に座った瞬間から目でわかる。赤く大きいスタートボタンを押す前から。

X3 MはX4 Mと並んで、BMWのなかで最もホットなSUVといえる。2022年仕様としてフェイスリフトを受けており、英国の一般道での試乗は今回が初めて。スタイリングに手が加えられ、装備が充実し、最大トルクが5.1kg-m増えている。

BMW X3 M(欧州仕様)
BMW X3 M(欧州仕様)

ボンネットの内側に収まるのは、510psを発揮する3.0L直列6気筒ツインターボ・ガソリンエンジン。フェイスリフト前から0-100km/h加速時間を0.3秒縮めたと、BMWの担当者は説明する。

ミドルサイズのSUVでありながら、わずか3.8秒で静止状態から100km/hまで加速できる。最大のライバル、メルセデスAMG GLC 63 Sとも肩を並べるダッシュ力だ。

この6気筒エンジンには、スポーツサルーンのM3やスポーツクーペのM4と同じく、鍛造のクランクシャフトが組まれている。一般的な鋳造のものと比較し、重量が軽く慣性も小さく、より鋭く回転することができる。

強化されたエンジンに合わせて、エンジンオイルとトランスミッション・フルードのクーラーもアップデートされた。より熱い走りに耐えられるように。

アグレッシブさを増したフロントマスク

外観でわかりやすい変化となるのが、大きなキドニーグリル。フロントバンパー両サイドに切られた、縦に長いエアインテークも凄みを増している。明確な違いというほどではないが、間違いなくアグレッシブさは高められている。

リアバンパーの下に太い4本のパイプが並ぶ、スポーツエグゾーストは標準装備。その荒々しい排気音が聞こえなくても、リアミラーに写った姿で、先行車はX3のMだと気づけるはずだが。

BMW X3 M(欧州仕様)
BMW X3 M(欧州仕様)

インテリア側では、インフォテインメント・システムのiドライブがアンドロイド・オートに対応した。ダッシュボードやドアパネルは、カーボンファイバー製トリムで飾られる。指紋の付きやすいピアノブラックのパネルが、センターコンソールを覆う。

フェイスリフト前のX3 Mと見分ける、わかりやすいポイントがエンジンスタート・ボタンの位置。シフトセレクターの隣に、大きく赤い丸がレイアウトされている。

高性能なSUVらしく、アクセルレスポンスやステアリングホイールの重み付け、サスペンションやスタビリティ・コントロールの制御などは、それぞれ3段階からドライバーが選択できる。好みの設定が決まったら、Mボタンに登録が可能だ。

2つの赤いMボタンの位置は、ステアリングホイールのスポーク部分から変わらず。1度登録すれば、一発でお気に入りの設定を呼び出せるから、出発前の時間を浪費してしまうこともない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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