1026psのモンスター ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRXへ試乗 0-100km/h加速3.2秒 後編

公開 : 2022.08.17 08:26

アメリカのチューナー、ヘネシーが手掛けたモンスター級のピックアップ。英国編集部が、そのステアリングを握りました。

巨大なボディに高い車高で死角が広い

ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRXを発進させる。乗り心地は比較的ソフト。タイヤの外径が37インチもある、BFグッドリッチのマッドテレイン・タイヤを履き、巨大な衝撃をなだめこむ、調整式のビルシュタイン・ダンパーがシャシーを支えている。

アスファルトでもボディが揺さぶられ、細かな振動が伝わってくる。路面から伝わる様々な入力が、筆者の身体のあちこちも震わせる。

ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)
ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)

高速道路へ合流すると、スーパーチャージャーの悲鳴が遠くから耳へ届く。タイヤのロードノイズは大きくなる。脱水中の洗濯機のそばにいるような、そんなノイズだ。

筆者は、古いアメリカ製のピックアップトラックが嫌いではない。むしろ、かなり好きな方だといえる。それでも、マンモス・ラムへ乗り慣れるには時間が必要だった。特に、英国の一般道では。

ボディサイドには大きなドアミラーが付いているが、位置が高くボディも大きく、死角も広い。狭い道をすばしっこく走る、小さなハッチバックが隠れてしまう可能性がある。

交差点へ差し掛かると、一瞬だけ周囲を走るクルマが姿を見せるが、すぐ運転席からは見えなくなる。周囲へ意識を配る必要性が、普段以上に求められる。

ボディが巨大なだけあって、車内は広々としている。ダブルキャブの5シーターだが、運転席に座ると助手席へは手が届かないほど。

激しい加速時はボディのリア側が沈み込む

シートは座り心地が良い。ダッシュボードなどのスイッチ類は、かなりゴツい。カーボンファイバー製のトリムが、あちこちを飾っている。電源ソケットが随所に用意され、ドリンクホルダーは合計14個もあった。

動的能力を高めるべくチューニングを受けた結果、最大積載量は594kgに制限を受けている。通常のラム1500なら、800kg以上は搭載できる。最大牽引重量は、3670kgまで対応するから、大きなキャンピングトレーラーも引っ張れる。

ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)
ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)

甚大なパワーを秘めるピックアップトラックを走らせるなら、バハ・カリフォルニアのような広い砂漠地帯が良い。このマンモス・ラムも、サスペンションのストロークはかなり長く確保されている。

アクセルペダルをフロアへ押し付けると、ボディのリア側が大きく沈み込む。テイクオフ・スタイルになり、ステアリングホイールの感触が曖昧になる。スピードが増すほど、エンジンは轟音を響かせる。

恐らく間違いなく速いのだが、スピード感が伴わない。ジェット旅客機が離陸時に240km/h以上まで加速しても、機内に座っていると余り速いと感じないのと一緒だろう。路面から高い位置にキャビンが位置しているためだ。

それでも、大量のガソリンを燃やしている。燃料系の針は、想像以上に早く傾いていく。1日の取材を終えて燃費を確認してみると、メーターパネルに3.6km/Lが示された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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