1026psのモンスター ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRXへ試乗 0-100km/h加速3.2秒 前編

公開 : 2022.08.17 08:25

アメリカのチューナー、ヘネシーが手掛けたモンスター級のピックアップ。英国編集部が、そのステアリングを握りました。

6.2LスーチャーV8で1026ps

筆者は、プロの自動車評論家ではある。期限の過ぎた原稿を手渡した同僚から、あるいは約束の時間に遅れて待っていたフォトグラファーから、しばしばそういわれる。強めに。

これまでどんなクルマでも試乗し、その体験をまとめてきた。基本的に、頼まれた仕事は断らない主義だ。それでも、今朝は少しその考えを改めようかと思った。

ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)
ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)

広くない自宅の前に、6.0L V型12気筒エンジンを搭載するSUV、アウディQ7ですら小さく見えてしまうモンスターが停まっている。アメリカのチューナー、ヘネシー社が手を加えたピックアップトラックだ。

名前は、ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRXという。選べるなら、もっと小さいクルマの試乗が良かった。全長は6m近くあり、全幅は2mを軽く超える。英国価格は、15万ポンド(約2505万円)だという。

大きなボンネットの内側には、6.2LのスーパーチャージドV型8気筒エンジンが搭載されている。最高出力は1026psもある。4ケタだ。最大トルクは133.7kg-mあり、0-100km/h加速を3.2秒でこなすらしい。車重が3538kgあるにも関わらず。

ヘネシー社は、これまで生産された公道を走れるピックアップトラックとして、最強だと主張している。近年の自動車業界のトレンドから、完全に外れていることは確かだろう。

ミドシップ・スーパーカーも発表したヘネシー

ボディカラーはオレンジがかったイエロー。写真撮影は、グレートブリテン島の南西にあるブリストルの街が良いのでは、と提案した。ここは、鉄骨が多用されたマッシブな建造物が多い。鉄橋もあるし、かつて造船で栄えていた工業的な港湾エリアも存在する。

恐竜時代的なマンモス・ラムの出で立ちと、良く似合うと考えた。周囲の人に自分がオーナーだとは誤解されたくないな、と思いながら、1日の取材をこなせる装備をキャビンに載せた。

ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)
ヘネシー・マンモス・ラム1500 TRX(北米仕様)

ヘネシー社は、ジョン・ヘネシー氏が1991年にアメリカ・テキサス州に創業した。これまでに通常より速いクルマを、1万台以上も生み出している。自社専用となる、ゼロヨンのドラッグレース用コースも保有しているという。

通常はフォードダッジ、ラム、シボレーキャデラックジープといったアメリカ車を中心にチューニングしている。10年ほど前に、ロータスエキシージへ派手に手を加えたヴェノムGTで世界最速を目指していたことを、ご記憶の読者もいらっしゃるだろう。

そして2021年には、ヴェノムF5という独自開発のミドシップ・スーパーカーも発表した。6.6LのV型8気筒ツインターボ・エンジンを搭載し、目標とする最高速度は時速300マイル(482km/h)超え。過剰能力の象徴のようなクルマだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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