トヨタ・クラウン50年ぶり復活に沸く米国 現地ファンがちょっと残念に思うワケ

公開 : 2022.08.16 05:45

クラウン復活で全米が沸いている?

そこから50年経過した2022年、16代目クラウンにてついにアメリカでの販売再開が明らかになった。

7月15日に発表されたのはクロスオーバーモデルで、フルサイズセダンのイメージを一新する大胆な新デザインや快適性を備えたモデルとして紹介された。

トヨタ・クラウン・クロスオーバー
トヨタ・クラウン・クロスオーバー    トヨタ

すでに2021年5月に「トヨタ・クラウン」として商標が出願されていたため、「近々、アメリカでもトヨタクラウンが販売される!」と、コアなファンの間ではじわじわとそのうわさが広まっていったという。

7月15日にアメリカでも発表セレモニーがおこなわれた。米国トヨタ公式の動画はユーチューブなどで見ることができる。

動画では、
・2022年後半にディーラーに到着する予定である
・アメリカで販売されるトリム(グレード)は、XLE、Limited(リミテッド)、Platinum(プラチナム)の3グレード。全グレード四輪駆動(AWD)モデル
RAV4コンパクトSUVと同じハイブリッドパワートレインを搭載する
・Platinum(プラチナム)は、新しいタンドラピックアップや大型SUVのセコイヤと同様に、経済効率よりもパフォーマンスを優先するモデル。ハイブリッドシステムにターボチャージャーを追加して、より多くのパワーを発揮する
などの内容が公表された。

発表会の動画に対する反応はおおむね高評価なコメントが並んでいる。

「トヨタが世界一であることはこの新しいクラウンを見ればわかる。アメリカでの販売復活大歓迎です!」

「美しい、本当に美しいクラウン。車高のほどよい高さもいい。セダンとSUVの間に位置している」

「アメリカで50年ぶりの販売!感動的だ。(現在のフラグシップである)トヨタ・アヴァロンに取って代わることになるのだろう」

「トヨタはハイブリッドシステムでわたしが信頼する唯一のメーカー。今度のクラウンもすごそう」

米国トヨタファンが残念に思うワケ

世界中で人気と信頼を長年得ているトヨタ車だが、とくにアメリカでの人気はすさまじい。

近年、セダン、コンパクトカー、SUVいずれのカテゴリーでも1位はトヨタだ。

米国のトヨタ・クラウン
米国のトヨタ・クラウン

理由はハードの信頼性、デザインの良さ、ディーラーの対応やアフターフォローの体制、カスタムパーツが豊富なこと、などなど。

とくにSUVの国アメリカでRAV4は圧倒的な支持を得て2021年は40万台以上が販売された。

そして2021年アメリカでのトヨタ新車販売台数はGMを抜いて233万台を記録。「史上初」の首位となった。

アメリカで外国メーカーが販売の首位になることも前代未聞の出来事である。

ここにきてクラウン復活ともなれば、アメリカでのトヨタ車人気がさらに盛り上がりそうだ。

ところで、新型クラウンの販売で盛り上がる一方で、旧車クラウンオーナーたちはどう思っているのだろうか?

今、アメリカは空前の「JDMブーム」。

JDM とは「日本国内専用モデル」の意味もある。

つまり、日本でしか販売されてこなかったクラウンは同じく日本市場だけで販売されてきたスカイラインセンチュリーと同様、JDMファンにとっては神格化されているといってもいい。

それでいて25年ルール適用のクラウンはスカイライン系に比べて価格がそれほど高騰しているわけでもなくお買い得なJDMといえるだろう。

「クラウン復活」について、TORC(トヨタ・オーナーズ・レストアクラブ)の代表であるテリー山口さんは以下のように印象を語った。

TORCには70年代のクラウンオーナーも複数名がメンバーとなっており、いずれも美しく手入れされている。

「盛り上がっていますね! わたしはあまり関心がなかったのですが、まわりのクラウンファン、トヨタファンたちは大興奮ですよ! トヨタの歴史をつかさどる王者クラウン、クラシックはもちろん新しいモデルも、トヨタの代表モデルになっていくのではないでしょうか?」

「ですが、今回の新型クラウンには王冠マークがないと聞いていますので、それを残念がるトヨタファンも少なからず存在しているようです」

「日本を代表する歴史ある高級車クラウンの象徴でもある王冠マーク。これがついていないことを残念がる人たちが出てくるでしょう」

そう。今回のクラウン、海外モデルには原則として王冠マークがつかない……。

しかし、SNSのコメントの中には「エンブレムがないのは寂しいけど、日本からクラウンバッジだけ購入してつければいいんじゃない? クルマを輸入するよりはるかに簡単だよ! クラウンというクルマが50年ぶりにアメリカで正規に販売されることの価値は大きい」という前向きなコメントも散見された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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