人気復調のディーゼル ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.5 DTへ試乗 優れた価格価値

公開 : 2022.09.04 08:25

競争力を高めた8代目アストラのディーゼルへ英国編集部が試乗。実際より高価に感じさせる仕上がりを評価します。

英国市場で復調を見せるディーゼルエンジン

シンガーソングライターのケイト・ブッシュ氏が、44年ぶりに英国のシングルチャートで1位を獲得した。1985年にリリースしている、ランニング・アップ・ザット・ヒル(神秘の丘)という曲で。

快挙といえるカムバック・ヒットだが、実は最近、ディーゼルエンジンも英国市場で復調を見せている。勢いではケイトの比較にならないけれど。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.5ディーゼル GSライン(英国仕様)
ヴォグゾールオペル)・アストラ 1.5ディーゼル GSライン(英国仕様)

一時期は主力の選択肢から外れていたものの、長距離の高速移動などにおける効率の高さへ再び注目が集まっている。バッテリーEV(BEV)の航続距離が伸び、急速充電器が普及するまで、特定モデルでのディーゼルの支持率は一定数が保たれるようだ。

実際、新しいヴォグゾール(オペル)のアストラにもプラグイン・ハイブリッド(PHEV)やガソリンターボと並んで、ディーゼルターボが用意されている。シトロエンC4プジョー308と同様に。

コンパクト・ハッチバックで選べるパワートレインとして、驚かされるほどのラインナップだといえる。クルマに求められる能力の幅を考えれば、歓迎される事実だろう。都市部の移動だけでなく、長距離通勤にもアストラは活躍することになるからだ。

実際より高価なクルマに感じる静かさ

アストラのディーゼルエンジンは、1.5Lの4気筒ターボ。最高出力は129psと控えめだが、最大トルクは30.4kg-mとかなり太い。不足ない直線加速を披露するだけでなく、中回転域を活用すればリラックスしたクルージングも容易い。

余裕のあるトルクは、8速ATを介してフロントタイヤに伝達される。残念なことに、ステランティス・グループの他のモデルのように、操作しやすいシフトレバーは備わらない。それでも変速の反応はキビキビしていて、レシオも塩梅が良い。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.5ディーゼル GSライン(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.5ディーゼル GSライン(英国仕様)

ディーゼルターボの高効率な回転域を活かしながら、テンポよくシフトアップしていく。ためらいがちな変速で、もどかしい思いをすることもない。

WLTP値での燃費は、21.7km/Lから22.7km/Lと良好。アストラに積まれる1.2L 3気筒ガソリンターボの方が活発ながら、ランニングコストではディーゼルターボが遥かに勝る。高速道路では、より威力を発揮するはず。

アイドリング時はディーゼルらしいノイズが車内に響き、8代目のプレミアム感漂うボディやインテリアのデザインに合致しないことは確か。しかし、走り始めれば一気に静かに転じていく。

スピードが乗ってしまえば、ディーゼルであることを忘れてしまうほど。もちろん、ノイズをかき消すほどサスペンションや風切り音がうるさいわけではない。信号待ちなどを除いて、実際より高価なクルマに感じさせてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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