自動車史100年の最強インフルエンサー(1) 1900年代のフォード・モデルTなど10台を選出 UK編集部が最高の1台をジャッジ!

公開 : 2026.06.27 17:45

1900年代のフォード・モデルTから1990年代のマクラーレンF1まで、強い影響力を残してきた傑作たち。100年を10年ごとに区切り、各年代から1台ずつ計10台を選出。最強インフルエンサーはどの1台か、UK編集部がジャッジします。

現在のクルマへ大きな影響を与えた傑出モデル

今回のテーマは、「インフルエンサー」。ネット界で若者を中心に影響力を持つ、ユーチューバーやインスタグラマーのことではない。現在のクルマへ大きな影響を与え、原型と呼べるものを生んだ、傑出モデルを指している。

パワートレインやシャシー、安全性、スタイリング、製造技術など、クルマづくりにおける主要分野で、革新を起こしたモデルは少なからず存在してきた。雛形と呼ぶべき完成度にあり、自動車業界を一気に加速させた存在もあった。

自動車史100年の最強インフルエンサーに選ばれた10台
自動車史100年の最強インフルエンサーに選ばれた10台    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)/マックス・エドレストン(Max Edleston)

クルマは1880年代に発明されたが、ここでは基本技術が確立された1900年代から、1つの黄金期を迎えた1990年代へ注目。10年毎に、代表となる1台を選び比較してみたい。

選出に当たっては年代別に10台、合計100台の候補から比較し、外部の専門家を交えた5名により、審査の公平性が高くなるよう務めている。そして最終的に、この中からトップ3を選ぼうと思う。自動車史100年における最強インフルエンサーと呼べるのは、どの1台だろう。

1900年代代表:フォード・モデルT(1908〜1927年)

フォード・モデルTがなければ、現在の自動車業界は形成されなかったかもしれない。ヘンリー・フォード氏が生産に組立ライン方式を導入し、量産化を進めなければ、他メーカーの成長も遅れていたことだろう。影響力は、間違いなくトップクラスにある。

実際、モデルTは1900年代の代表として満場一致だった。審査員の1人、AUTOCARのスティーブ・クロプリーは「モデルTの開発者へ、120年後も世界で最も偉大なクルマの1台だと考えていることを知らせたい」と話す。

1900年代代表:フォード・モデルT(1908〜1927年)
1900年代代表:フォード・モデルT(1908〜1927年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)/マックス・エドレストン(Max Edleston)

今回ご登場願ったのは、1912年式モデルT トルペード。英国の工場で作られたフォードで、ブラックのボディを真鍮製の部品が効果的に彩っている。

操縦系は、現代のクルマと異なる。ペダルは3枚だが、1番左は遊星ギアを用いた2速トランスミッション用。踏み込むとローギア、離せばハイギアとつながる。中央のペダルはバックで、右はブレーキ。スロットルは、ステアリングホイール上のレバーで操る。

アメリカを自動車大国へ変貌させた立役者

この年代のクルマへ慣れていなければ、運転は少々ややこしい。審査員の1人、ピーター・スティーブンス氏も、「自動車業界はヘンリー・フォード氏の考えへ同調せず、今では一般的なレイアウトの採用が進みましたね」と話す。

「耐久性や条件を問わず走り続けられるタフさが、子供の頃の印象として残っています。オーストラリアの草原には、広いトレッドと高めの車高が効果的でした」と話すクロプリーは、1997年にこのモデルTを900km弱走らせた経験を持つ。

1900年代代表:フォード・モデルT(1908〜1927年)
1900年代代表:フォード・モデルT(1908〜1927年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)/マックス・エドレストン(Max Edleston)

1気筒や2気筒が主流だった当時、2.9L 4気筒エンジンも画期的だった。「他社の動向を読み、自社の製造へどう応用できるのかを考えた点が、フォードの賢さ。給与の高さも、彼の理解力を表しています」とスティーブンスが考察する。

審査員のサイモン・キッドストン氏は、革命的な存在だったと話す。「1500万台も生産され、アメリカを自動車大国へ変貌させ、日常生活の形成へ貢献したんです」

協力:フォード・ヘリテージ、英国自動車博物館

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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