ダイハツ・ムーヴ・キャンバス NAとターボに試乗 ターボで広がる個性派ムーヴの可能性

公開 : 2022.08.28 05:45

和みの乗り味あってのキャンバス

軽乗用のフットワークの基本は和み系。要するに乗り心地重視のソフトサスである。

スーパーハイト系でもロールを締め上げるようなチューンはなし。

ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・セオリーGターボ
ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・セオリーGターボ    佐藤正勝

座面高共々頭部が高ければ体感ロールは大きくなり、ちょっと首振り人形の気分だ。

キャンバスも例外ではなく、比較的大きなロールを使うが、ロール速度そのものは抑制が利いており、揺れ返しも少ない。

中立付近の据わりも和み系では良好。軸脚はタウンユースに置いているが、高速走行も多少配慮といった感じだ。

とはいえ、一般的には高速直進の据わりは不足気味。

切り返した時の挙動収束が甘いし、横風などの外乱の影響も受けやすい。

コーナリング中のほうが落ち着いているくらい。上級クラスに比べると直進維持に気をつかう。

これはNA車もターボ車も変わらない。

だからといって、高速操安のためのハードサスにしたのではキャンバスらしくもない。和みの乗り味あってのモデルなのだ。

そこで役立つのがLKA(LKC)である。

60km/h以上で機能し、車線認識によりはみ出し防止操舵支援機能を備える。

全車速追従型のACCとセットにすれば高速道路の運転ストレスは大幅減。

ターボ車はACCの速度維持、前走車追従能力も高く、ターボ/ACC/LKAの3点盛りなら高速長距離もさして苦にならない。

4名乗車でもそれぞれ居心地良し

パッケージングからすれば多用途性重視のキャビン設計と思えるかもしれないが、後席収納は従来型と同じくバックレスト前倒のシングルフォールディング。

左右独立後席スライド機能を備えているので客室/荷室のバランスを変更できるものの、ダイブダウンなど最大積載を稼ぐ工夫は少ない。

ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・ストライプスG
ダイハツ・ムーヴ・キャンバス・ストライプスG    佐藤正勝

大物積みならばスーパーハイト系のタントを選べばよく、キャンバスの守備範囲ではない。

最大積載はともかく、キャンバスが実用性重視の設計なのは間違いない。

その要点が後席座面下に設置された「置きラクボックス」。

引き出しのようなもので、後席乗員の身まわり品の収納のほかに格納式衝立を用いればショッピングバッグのような袋物の積載にも役立つ。

荷室床下収納やドアポケット、インパネの置き棚。小間物の整理には事欠かない。

4名乗車でもそれぞれの乗員が居心地よく使える設計である。

居住性はハイト系の常として男性4名でも十分。

シングルフォールディングでの収納性のためか後席の形状とクッションに多少の不満を感じるが、4-50°のリクライニング機構も採用され、居心地は悪くない。

アップライトな着座姿勢と高いアイポイントで見晴らしもよく、天井やピラーの圧迫感もない。

外観のイメージどおりに和気藹々としたドライブが楽しめるキャビンである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    佐藤正勝

    Masakatsu Sato

    1964年生まれ。1984年東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、八重洲PRセンターに入社。86年にF1/ルマン24時間を撮影後何かのスイッチが入ったらしく退社。フリーとなり国内外のレースを撮影。91年に撮影したDTMで、また何かのスイッチが入ったらしくどっぷりドイツ漬けに。現在は撮影のみならず、CS放送でのレース解説や雑誌への執筆も。

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