4モーター1197psのエイリアン アリエル・ハイパーカー 最新BEVの試作車へ試乗 後編

公開 : 2022.09.09 08:26

ブガッティ・ヴェイロンを超える加速力

少なくともプロトタイプでは、駆動用モーターは回転開始からフルパワーを発揮するまで1秒ほど掛かる様子。静止状態でアクセルペダルを踏み込むと、初動の勢いの次に、65km/h前後で第2のパワーの波が襲ってくる。

恐らく、トラクションコントロールが低速域でトルクを抑制しているためだろう。試乗した古い滑走路の路面は良くなかった。

アリエル・ハイパーカー4WD プロトタイプ
アリエル・ハイパーカー4WD プロトタイプ

グリップ力が高まると、あっという間に160km/h以上へ急加速する。シートへ背中を押し付ける、凄まじい勢いで。

アリエルの技術者によれば、0-161km/h加速を5秒以下でこなすという。ブガッティ・ヴェイロンを超える加速力といえるが、今回の体験の限り、大げさな主張ではないようだ。

カント角のないコーナーで操縦性を確かめてみたが、シャシーの能力は上澄み程度しか味わえなかった。それでも、グリップ力だけでなく横方向の姿勢制御、操縦性のバランスなどは感心するほど高いといえる。

コーナーの進入時にフロント側へ荷重を移せば、テールスライドへ持ち込むことも難しくない。アクセルペダルを緩めるとフロント側に回生ブレーキが掛かり、リア側の自由度が高まる。

カーボン・ポジティブの工場で生産

アリエル・ハイパーカーの運転は、プロトタイプでも間違いなく楽しい。完成したクルマへ試乗できるまで、これから2年ほどの開発期間が必要らしいが、その時が待ち遠しい。

それまでに、ハイパーカー用の新しい工場も竣工する予定。カーボン・ニュートラルではなく、カーボン・ポジティブ、実質的にはCO2を回収できる施設になるとのこと。

アリエル・ハイパーカー4WD プロトタイプ
アリエル・ハイパーカー4WD プロトタイプ

BEV化が迫るなかで、画期的な変革が生じようとしている。英国の小さなアリエルは、同規模のメーカーが追従すべき新スタンダードを生み出そうとしている。

21世紀が始まって20年が経過した。次の20年は、これまで以上に印象的なものになるのかもしれない。アリエル・ハイパーカーへの試乗で、素晴らしい時代が始まるような気がした。

アリエル・ハイパーカー4WD プロトタイプのスペック

英国価格:100万ポンド(約1億6500万円)以下(予定)
全長:4298mm
全幅:2152mm(ドアミラー含む)
全高:1354mm
最高速度:249km/h(予想)
0-100km/h加速:2.09秒
航続距離:−
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:1685kg
パワートレイン:クワッド電気モーター+ガスタービン・エンジン
バッテリー:62.0kWh
急速充電能力:−
最高出力:1197ps
最大トルク:185.1kg-m
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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