2代目で盤石化 新型キア・ニロ・ハイブリッドへ試乗 C-HRやHR-Vとしのぎを削る 後編

公開 : 2022.09.28 08:26  更新 : 2022.10.01 22:10

韓国キアの好調を支える人気小型クロスオーバー、ニロ。モデルチェンジした2代目を、英国編集部が評価しました。

トヨタに迫る洗練されたHVシステム

2代目へモデルチェンジした、コンパクト・クロスオーバーキア・ニロ。実際に、英国の一般道を走らせてみよう。

ドライビング体験は悪くはない。初代ニロの成功を受けて、もう少し磨かれるのではないかと期待したものの、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したキアEV6のような輝きは感じられなかった。

キア・ニロ・ハイブリッド(英国仕様)
キア・ニロ・ハイブリッド(英国仕様)

ハイブリッド・システムは初代に少し手を加えた程度ながら、0-100km/h加速は10.4秒と、1秒も短縮している。実際に加速させてみると、その数字以上に活発に思えた。

静止状態からの加速時は、43psの駆動用モーターが加勢しトルクフル。1.6L 4気筒ガソリンターボ・エンジンのノイズは、よく遮断されている。ハイブリッド版ニロが速いとまではいえないが、ファミリーカーの主なユーザーから不満は出ないはず。

高速道路の速度域では、内燃エンジンが頑張っている様子が伝わってくるし、冷間時には若干荒っぽさが出る。それでも、ニロのハイブリッド・システムは、このクラスで最も洗練されたものの1つに数えていい。

燃費も優秀で、高速道路を巡航させて21.0km/Lを余裕で超える。下道を少し飛ばしても、14.0km/Lを下回ることはなかった。平均では20.0km/L前後は得られるのではないだろうか。効率面でも、トヨタのハイブリッドに肉薄しているようだ。

操舵感や乗り心地はBEV版が有利

デュアルクラッチATは、トヨタC-HRホンダHR-Vの見事な滑らかさにまでは届いていない。しかし、よりダイレクトで自然なフィーリングという点ではキアの方が勝る。リバース・ギアは用意されず、駆動用モーターを逆回転させてまかなう。

とっさに求めた鋭い加速時などは、シフトダウンで少しもたつく様子。日常的に意欲的に走りたい場合は、マイルド・ハイブリッドの方が良いかもしれない。ドライブモードには、エコとスポーツが設定されている。

キア・ニロ・ハイブリッド(英国仕様)
キア・ニロ・ハイブリッド(英国仕様)

プラットフォームをともにするニロEVの場合、ステアリングホイールには不足ない感触が伝わり、フロントノーズが機敏に反応。魅力的といえる操縦性を楽しめる。

反面、ハイブリッド版は刺激が少々薄い。カーブではボディロールがやや大きく、ステアリングホイールの操舵感は軽すぎ、手のひらへ伝わる感触も薄いようだ。

乗り心地も、ニロEVには届いていない。肉厚なタイヤを履いていても、路面の剥がれた穴などの振動を完全には処理しきれないでいた。ただし、ライバルのクロスオーバーに劣るほどではない。初代と比べれば、大幅に良くなっている。

タイヤやサスペンションのノイズ、風切り音などは、競合モデルより多めに車内へ届く。我慢できないほどではないから、オーナーになればすぐに慣れるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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