ニッチを狙う斬新モデル プジョー408 パリ・モーターショーで一般公開

公開 : 2022.10.19 05:45  更新 : 2023.06.20 17:30

新型プジョー408が、フランスで開幕中のパリ・モーターショー2022で公開されました。SUV、ハッチバック、セダンを融合させた斬新なスタイルで、新たな顧客層の取り込みを目指します。

斬新スタイルのファストバック

プジョーの新型408が、10月17日からフランスで開幕中のパリ・モーターショー2022で一般公開された。

ファストバックの斬新なスタイルで、従来のSUV、ハッチバック、セダンの長所を融合させることを目的としている。コンパクトなボディにクーペ風のシルエット、広い室内空間、優れたドライビング・ダイナミクスを実現しているという。

パリ・モーターショー2022で公開されたプジョー408
パリ・モーターショー2022で公開されたプジョー408    AUTOCAR

プラットフォームには、新型308と同じEMP2を採用している。サイズは全長4687mm、全幅1848mm、全高1478mm。欧州では2023年初頭に発売予定だ。英国向けには4万3250ポンド(約730万円)のファースト・エディションが50台限定で用意され、予約受注を開始している。

デザイン・プロジェクト・マネージャーのピエール=ポール・マッテイは、「室内空間を狭めることなくダイナミズムを持たせる」ことが設計段階の大きなハードルであったと語る。

「例えば、プジョー508のような古典的なファストバックは、Bピラー付近でトップラインが下がり始めますが、これが408ではリアドアの後部にあたります。そのため、後席の乗降性とスペースが改善されているのです」

フロントグリルはプジョーの現行モデルと同様のデザインだが、さらにモダンなアレンジを加え、左右に向かってカラーブロックが大きくなる新しいパターンを導入している。マッテイによると、この新しいグリルデザインは次世代の電動モデルに対応するもので、今後も採用される可能性があるという。

インテリアは308と並行して開発されたもので、「408の個性と308の良いところを取り入れるバランスが課題だった」とポール・マッテイは言う。

408は、デジタルメーターディスプレイや、アップル・カープレイ/アンドロイド・オート内蔵の10.0インチのインフォテインメント・タッチスクリーンなど、プジョー独自の「iコクピット」を採用。収納スペースも拡張されている。

電動モデルも充実

パワートレインは、2種類のプラグインハイブリッド(EV航続距離約65km)と、最高出力130psの1.2L 3気筒ガソリンターボが用意される予定だ。トランスミッションはいずれもAT。2023年にはEV仕様のe-408も登場する。

プジョーは、車格を508に近づけつつ、価格的には308と3008の中間に位置づけ、新しい顧客層の取り込みを目指している。408のプロダクト・マネージャーであるオーレリー・ブレッソンは、次のように述べている。

パリ・モーターショー2022で公開されたプジョー408
パリ・モーターショー2022で公開されたプジョー408    AUTOCAR

「小型ハッチバックのオーナーは、今よりも広い室内空間に同等のドライビング・エクスペリエンスを求めているかもしれません。また、コンパクトSUVのオーナーは、もっと個性的でダイナミックなドライビング・エクスペリエンスを求めていて、大型セダンのオーナーは、長い車体にモダンなボディラインを求めているかものしれません」

「機能性だけを求めてクルマを買うのではない、というのが彼らの共通点です」

プジョーは408を、「クロスオーバー」ではなく、「セダンの派生モデル」と位置づけている。そのため、車名もクロスオーバー向けの数字4桁(2008、3008など)ではなく、従来の3桁が採用された。

このような開発経緯がありながら、現在の508を共食いするような存在ではないというのがプジョーの主張だ。同社のマーケティング責任者、フィル・ヨークはAUTOCARに対し、こう語っている。

「508は、プジョーブランドの象徴であり、ハイエンドモデルです。市場で個性的なモデルとなっている508 PSE(パフォーマンス重視のPHEV)と、特定の顧客ニーズを満たす508 SW(ステーションワゴン)があります。508がブランドにもたらしてくれるものに、とても満足しています」

AUTOCAR英国編集部が入手したデータによると、プジョーが昨年英国で販売した508は1200台強で、これに対して3008は1万2200台だった。しかし、ヨークは、508の法人需要は強く、社用車市場で重要な役割を果たしていると述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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