最大の強みはe-パワー 日産エクストレイルへ英国試乗 優れた洗練性と実環境の燃費 前編

公開 : 2022.10.31 08:25

新型エクストレイルが欧州市場にも上陸。ハイブリッドのe-パワーなど、全体の訴求力は高いと英国編集部は評価します。

シリーズ式ハイブリッドを採用

実は新しい日産エクストレイルの欧州仕様は、英国で生産される予定にあった。しかし2019年、前CEOのカルロス・ゴーン氏がレバノンに亡命。英国はブレグジットでEUから離脱し、状況は一変した。リスク回避などを理由に、日本での生産が決まった。

生産拠点が変わったとしても、4代目エクストレイルが英国ユーザーにとっても魅力的なSUVであることに変わりはない。ローグとして売られている、北米市場より導入が遅れたけれど。

日産エクストレイル e-パワー e-4orce アセンタ・プレミアム(欧州仕様)
日産エクストレイル e-パワー e-4orce アセンタ・プレミアム(欧州仕様)

新しいエクストレイルは、見た目が良い。3代目は、ひと回り小さい日産キャシュカイ(旧デュアリス)とスタイリングが似すぎているという評判もあり、売れ行きが伸び悩んでいた。SUVというより、ソフトなクロスオーバー感が強かったことは確かだろう。

そこで日産は、大きなキャシュカイというイメージを捨て、存在感の強いボクシーなスタイリングを4代目に与えている。同社のモデルラインナップ内での差別化は、充分といえそうだ。

欧州市場では、SUV=ディーゼルエンジンという風潮だった時代もあったが、現在は違う。それに合わせ、新型エクストレイルもベストセラーになるであろうパワートレインとして、新しいハイブリッドを導入している。

それが日産がe-パワーと呼ぶ、シリーズ式ハイブリッド・システムだ。搭載モデルは広がっており、ルノーのモデルにも採用されはじめている。

2基の駆動用モーターで四輪駆動化

タイヤとつながっているのは駆動用モーターで、ボンネット内に搭載される1.5L 3気筒ターボ・ガソリンエンジンは発電に専念。最も効率に優れる回転域を利用し、比較的小さな駆動用バッテリーに電気を一時的に蓄えつつ、モーターへエネルギーを供給する。

システム総合での最高出力は、前輪駆動版で203psと充分。ザックリいえば、ガソリンエンジンの発電機を搭載した電気自動車だと考えても良いかもしれない。さらに、大きな駆動用バッテリーを充電する手間はない。

日産エクストレイル e-パワー e-4orce アセンタ・プレミアム(欧州仕様)
日産エクストレイル e-パワー e-4orce アセンタ・プレミアム(欧州仕様)

エクストレイルでは、e-パワーとしては初めて四輪駆動版も選べるようになった。前輪駆動ではフロント側の駆動用モーターが1基のみだが、リアアクスル用に2基目の駆動用モーターが追加されている。四輪駆動では、システム総合の最高出力は214psになる。

日産は、このシステムをe-4orce(イーフォース)と呼ぶ。ちなみに先日試乗レポートをご紹介した、バッテリーEV(BEV)となる日産アリアの四輪駆動版も、同じ名前で呼ばれている。

欧州市場には電圧12Vのマイルド・ハイブリッドも導入される。1.5Lガソリンターボ・エンジンが163psを生み出すが、主力のパワートレインにはならないと日産は予想する。こちらは前輪駆動のみの設定だ。

BEVへの過渡期にあって、日産は独自のe-パワーがベストなソリューションだと考えている。他社のように、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)はラインナップされない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

最大の強みはe-パワー 日産エクストレイルへ英国試乗 優れた洗練性と実環境の燃費の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

日産 エクストレイルの人気画像