セールスポイントは「燃費」にあらず? エコで一世風靡 新型プリウスが「低燃費」をウリにしないワケ

公開 : 2022.11.19 06:45

新型トヨタ・プリウスは3つのパワートレインを用意し、走りに振ったモデルも設定。新型では「低燃費」を強調しないワケを解説。

燃費は1番のウリではない?

5代目プリウスのワールドプレミアが都内で開催された。

そこで配布されて資料は基本的にトヨタのホームページで公開されているものと同じであるが、その中に燃費値についての表記はない。

トヨタ・プリウス
トヨタ・プリウス

これは、今回公開された車両があくまでもプロトタイプであるためだ。

一般的に、ほぼ最終量産モデルであるとしても、プロトタイプとして扱われる場合、燃費値は公表されない。

日本では、国際的な燃料消費率を計測する走行モードであるWLTCモードに基づき、国土交通省の審査を受けて最終的な燃費カタログ値となる。

シリーズパラレルハイブリッドが2022年冬に、またプラグインハイブリッド(PHEV)が2023年春に販売されるが、その少し前になれば車両価格を含めて燃費値も公開されることになるだろう。

とはいえ、長年にわたって、いわゆる「エコカー」市場を先導してきたプリウスについて、新型登場となれば当然、メディアやユーザーの関心も燃費に向くのではないかと考える人が少なくないのではないだろうか。

ところが、今回の発表記者会見の中でも、また記者会見後にメディアの囲み取材を受けるトヨタ関係者からも、積極的にプリウスの燃費に触れることはなかった印象がある。

その理由はいったいどこにあるのだろうか?

中身はノアヴォクと同じ?

理由として考えられるのは、今回はパワートレインが豊富にあり、それぞれで燃費値は当然違うためではないだろうか。

5代目プリウスのパワートレインは大きく3つある。

新型プリウスには3つのパワートレインが設定される。
新型プリウスには3つのパワートレインが設定される。

シリーズパラレルハイブリッドでは、FF(前輪駆動)としてのエンジン排気量は1.8Lと2.0Lの2種類ある。

また、それぞれについて後輪をモーター駆動する、E-Fourが設定されている。

エンジン排気量が2.0Lのプラグインハイブリッド車(PHEV)も設定される。

パワートレイン開発担当者によると、上記の1.8Lシリーズパラレルハイブリッドは、先に販売が始まっている新型「ノア/ヴォクシー」用と基本的に同じシステムであるという。

同システムの場合、エンジン最高出力は95.2psでモーター最大出力は97.9ps。WLTCモード燃費は、「ノア」7人乗りFF・S-Zグレードの場合23km/L、市街地モードで22.2km/L、郊外モードで25.0km/L、そして高速道路モードで22.1km/Lである。

5代目プリウスとノア/ヴォクシーは当然、車重が違うため5代目プリウスの燃費もこれとは変わることになるだろうが、ノア/ヴォクシーと大きな差は生じないと考えられる。

一方で、2.0Lのシリーズパラレルハイブリッドはかなりパワフルだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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