陶酔のドライビング体験 BMW M2(F87型) 英国版中古車ガイド 狙い目はコンペティション

公開 : 2022.12.13 08:25

ドリフト自在のハンドリング・クーペ、F87型M2。コンペティション、CSへと進化した初代の魅力を、英国編集部が振り返ります。

コンペティションとCSへ進化したM2

BMW M2はタイムマシンのようなスポーツカーかもしれない。大型化していく近年のクルマにあって、小さく軽かった。価格も、もう少し近づきやすいものだった。成功といえる結果に結びついても不思議ではなかった。

F87型M2の前身となるE82型の1Mクーペで、BMWはこのコンセプトに対する市場の反応を掴んでいた。僅かにボディサイズは大きくなっていたものの、明らかにその後継モデルといえる位置づけにあった。

BMW M2(F87型/2016〜2018年/英国仕様)
BMW M2(F87型/2016〜2018年/英国仕様)

市場限定だった1Mは、英国では450台しか販売されず、日本には正規導入すらされていない。しかし、初代M2は2000台がグレートブリテン島に上陸。コンペティションとCSへ進化を続け、さらに多くのドライバーのもとへ渡った。日本でも販売されている。

2016年に登場したオリジナルのM2には3.0L直列6気筒ターボエンジンが搭載され、最高出力は370psを誇った。格下の、M135i用ユニットの改良版ではあったけれど。0-100km/h加速は、7速デュアルクラッチATで4.2秒、6速MTでは4.4秒がうたわれた。

最大トルクの50.9kg-mは1400rpmという低い回転域から生み出され、胸のすくような走りが常時可能。ドライバーの気分次第で、カーブではテールスライドに興じることも難しくなかった。

M3譲りの3.0L直6ツインターボを獲得

M2最大の特長といえるのが、正確性に優れ落ち着いた操縦性。腕利きのドライバーが操れば、驚くほどの速さを披露した。実際、ドイツのホッケンハイム・サーキットでは、当時のBMW M3やM4のラップタイムを破っている。

これはボディをコンパクトにし、車重を軽くすることで得られる対価だった。オリジナルのM2の全長は4468mm、車重は1575kgだ。

BMW M2(F87型/2016〜2018年/英国仕様)
BMW M2(F87型/2016〜2018年/英国仕様)

2018年に、M2 コンペティションへバージョンアップ。さらにシリアスな能力を獲得している。こちらに搭載されたのは、M3譲りの3.0L直列6気筒ツインターボで、最高出力は409psへ上昇している。

ボディシェルにはカーボンファイバー製のフロントストラット・ブレースとバルクヘッド・ブレースが追加され剛性をプラス。より高精細な操縦性を叶えていた。アルミホイールは18インチから19インチへサイズアップし、車高も落とされている。

オリジナルのM2と比較し、コンペティションはすべてにおいて磨きが掛けられていた。しかし、ドライバーが手懐けるような荒々しさは鎮められ、スリリングさでは劣ると感じる人もいるかもしれない。

2020年にはM2 CSが登場。最終仕様として、最高出力は450psへ引き上げられている。トランスミッションのギア比にも調整を受け、コンペティションよりエネルギッシュさでは数段上。驚くほどの勢いでスピードを高めていける。

記事に関わった人々

  • オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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