乗り心地は上級サルーン並み フォルクスワーゲンID.バズへ試乗 2024年にはGTXも

公開 : 2022.12.14 08:25

かわいい見た目のEV版タイプIIが英国へ上陸。5シーターの初期仕様を英国編集部が評価しました。

ID.4と同じMEBプラットフォームがベース

フォードは、象徴的なモデル名を借りてバッテリーEV(BEV)のクロスオーバーへ輝きを与えようと考えたのだろう。マスタング・マッハEのことだ。だが、フォルクスワーゲンも2011年から同様なことを考えていた。

同社は今から10年ほど前に、ブリーというBEVのマイクロバスをモーターショーに出展している。それ以前にも、内燃エンジンを動力源としたアイデアを披露していた。

フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(英国仕様)

ブリーの発表以降、2016年と2017年にもBEV版フォルクスワーゲン・タイプIIと呼べるモデルがお披露目されてきた。そしてようやく、その量産モデルが英国へ上陸することになった。2022年12月から、この地では販売が始まっている。

ID.バズは、フォルクスワーゲン・グループが開発した、汎用性に優れる前輪駆動のBEV用MEBプラットフォームをベースにしている。ボディサイズは大きく異なるが、ハッチバックのID.3やクロスオーバーのID.4なども、同じプラットフォームをベースにする。

ボディサイズが近い、次期型のトランスポーターなども採用することになる。ちなみにID.バズの全長は4712mm、全幅は1985mm、全高は1937mmある。ホイールベースは2989mmだ。

当面のID.バスは、5シーターのミニバン仕様と、3シーターのカーゴと呼ばれる商用バンの2種類が提供される。2023年には7シーターのミニバンも登場予定で、2024年には四輪駆動でスポーティなGTXも追加されるという。

タイプIIの雰囲気にID.4風デザインを融合

英国価格は、5シーターのライフ・グレードで5万7115ポンド(約948万円)から。上級グレードのスタイルは、6万1915ポンド(約1027万円)からに設定された。ID.バズ・カーゴは、それより約1万1000ポンド(約182万円)お手頃になる。

パワートレインは、203psの駆動用モーターがフロント側に1基。容量77kWhの駆動用バッテリーが、前後のタイヤ間のフロア下に敷き詰められている。トランスミッションはシングルスピードで、前輪駆動となる。

フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(英国仕様)

試乗車はスタイル・グレードで、20インチのアルミホイールを履いていたが、タイヤサイズが前後で異なっていた点が興味深い。フロントは235/50、リアは265/45だった。恐らく車重が2502kgと軽くなく、フロントヘビー気味なことが関係しているのだろう。

ライフでは19インチに小さくなる。乗り心地では有利なはずだ。

ID.バズのスタイリングは、2011年のブリーと、現行モデルでハッチバックのID.4を融合させたような印象。近年のフォルクスワーゲンのBEVで共通する、フロントフェイスを得ている。それでいて、オリジナルのタイプIIの雰囲気も残っている。

LEDのヘッドライトとテールライトは切れ長で、左右で連続するように処理されている。フロントバンパーの格子状のグリルもアクセントになり、クリーンでありながら特徴的な雰囲気を生み出している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事