電気で128km走れるPHEV メルセデス・ベンツGLC 300eへ試乗 静かで滑らかな走り心地

公開 : 2022.12.19 08:25

2代目へ進化したDセグメントSUVのGLC。31.2kWhという大容量バッテリーを積んたPHEVの仕上がりを、英国編集部が確かめました。

31.2kWhのバッテリーで航続128km

メルセデス・ベンツの人気SUV、GLCが2代目へ進化した。ガソリンとディーゼルの2種類のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を用意し、堅調な売れ行きをさらに加速させたい構えだ。

燃費は、カタログ値で200.0km/Lがうたわれている。現実味の薄い、WLTP値での数字ではあるが。

メルセデス・ベンツGLC 300e AMGライン・プレミアム・プラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツGLC 300e AMGライン・プレミアム・プラス(英国仕様)

優れたエネルギー効率を引き出しているのが、PHEVとしては巨大な駆動用バッテリー。2代目GLCはハイブリッドを前提としたプラットフォームを採用し、先代の2倍以上の容量を搭載できる。実に31.2kWhもある。

関係性の近いCクラスのPHEV、C 300eより遥かに多く、バッテリーEV(BEV)のホンダeに迫る。英国価格が約13万ポンド(約2158万円)もする、ランドローバーレンジローバーのPHEV版と同等の容量だ。

その結果、駆動用モーターだけで走行可能な距離は128kmに及ぶ。現在販売されているPHEVのSUVでは最長といえ、英国では税金面でのメリットも大きい。そのかわり、車重は2280kgに達している。

新しいGLCの英国価格は5万ポンド(約830万円)弱からとなるが、PHEVでは1番安いグレードでも約6万2000ポンド(約1029万円)の予算が必要。ディーゼルターボのGLC 300deの場合は、約7万5000ポンド(約1245万円)へ膨らむ。

今回試乗したのは2.0L 4気筒ガソリンターボのGLC 300eで、英国価格は7万2925ポンド(約1210万円)だった。英国でも物価上昇が激しいが、それ以上のお値段だ。いうまでもなく、これだけの金額を準備すればセグメントが上のSUVも購入できる。

高級家電やラウンジのようなインテリア

新しいGLCの車内はゆったりしている。前後のシートに、大人がくつろげる空間が備わる。荷室は、大きな駆動用バッテリーを積むため多少削られているものの、充分に広く実用性は高い。

ただし、PHEV以外のGLCには備わる、荷室フロア下の収納スペースが300eにはない。かさばる充電ケーブルをしまうのに、丁度いい場所になるのだけれど。

メルセデス・ベンツGLC 300e AMGライン・プレミアム・プラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツGLC 300e AMGライン・プレミアム・プラス(英国仕様)

ダッシュボードのデザインやモニターのレイアウトなどは、Cクラスのオーナーなら見慣れたもの。センターコンソールから立ち上がったセンターモニターは、MBUXインフォテインメント・システム用。ドライバーの正面に、メーター用モニターが据えられる。

試乗車には大きな投影面積のヘッドアップ・ディスプレイと、カラフルに変化するアンビエントライトも実装され、メルセデス・ベンツがハイテクな企業であることを印象づける。以前から、新技術を好んできたブランドらしい。

基本的に、内装素材の質感は高い。近年の他のモデルにも共通することだが、触感としては余り優れない素材も入り混じっている。

インテリア全体の雰囲気は、高級ラウンジやハイエンドな電化製品のよう。非常にスタイリッシュなものの、筆者には少々冷淡にも感じられた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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