飲酒運転させない! アルコール検知器の義務化、782万人の白ナンバードライバーをどう管理する?

公開 : 2022.12.23 19:15

体験レポート なりすまし根絶の仕組み

測定する際はスマホにインストールしたアプリが測定者を自動的に撮影し、この測定結果と測定者情報(写真データ、位置情報など)を同時に管理者へ送信する仕組みになっている。

これにより、仮に測定者が出張中で直接会えない状態であっても、管理者は測定状況を確実に把握できるのだ。

CAX-AD300の画面をスマホに向けながら呼気をストローに吹き込むと、測定中のドライバーの顔(!)と測定値が自動で撮影される。ただちに管理ソフトへ連携・保存されるので、なりすまし・改ざんは困難だ。
CAX-AD300の画面をスマホに向けながら呼気をストローに吹き込むと、測定中のドライバーの顔(!)と測定値が自動で撮影される。ただちに管理ソフトへ連携・保存されるので、なりすまし・改ざんは困難だ。    AUTOCAR JAPAN編集部

実際にこれを体験すると、測定中の表情はどうやっても送られてしまう。つまり、測定データと測定時の表情はセットで管理者に把握されるわけで、これなら測定をごまかすのは難しい。

一方、管理者に送信されたデータは、無料で使える「KENWOOD アルコール検知器管理ソフト」で管理される。

反映される項目は「測定日時」「ID」「測定回数」「寿命回数」「センサー寿命」「アルコール濃度」「設定単位」「GPS」「写真」と多岐にわたるが、これらが受信と同時に各項目はソフト上に自動的に反映されるのだ。また、データは測定者ごとに設定した8桁IDで管理されるため、後から記録を振り返るのも容易だ。

さらに、測定結果が0.01mg/L以上でアルコールを検知した場合のデータはこのソフト上で赤く表示され、測定回数が1万回を超えたデータも黄色で表示されるのでセンサー寿命も同時に把握できる。

この対応によって、管理者側の見落としも未然に防止でき、結果として管理者の負担軽減にもつながるのだ。

それとアルコール検知器を運用する上で忘れていけないのは、先にも触れたようにセンサーには一定の利用期限があるということだ。

使用期限を超えたら?

ケンウッドの場合、半導体式ガスセンサーを使うCAX-AD100では約5000回の使用期限が設けられている。しかも使用期限が来たら、CAX-AD100は機材そのものを買い換えなければいけない。

一方で電気化学式ガスセンサーを使うCAX-AD300ではその約2倍となる約1万回、あるいは約1年(いずれか早い方)にわたって使える。しかも寿命が来たらCAX-AD300はセンサー部だけを交換すれば機材はそのまま使い続けられるメリットもある(メンテナンスサービスプログラムをJVCケンウッドでは検討中)。

0.01mg/L以上のアルコールを検知すると、赤いランプと警告音で知らせる(測定結果は取材用のもの)。もちろん、この結果はただちに運行管理ソフトへ連携され記録に残る。
0.01mg/L以上のアルコールを検知すると、赤いランプと警告音で知らせる(測定結果は取材用のもの)。もちろん、この結果はただちに運行管理ソフトへ連携され記録に残る。    AUTOCAR JAPAN編集部

こうした機能的な違いを踏まえると、検査対象者が多くその管理業務の効率化を重視するならCAX-AD300がお勧めとなるだろう。

逆に検査対象者が少なく、大半が対面式で検査が可能というならCAX-AD100がいいかもしれない。特にCAX-AD100は、計測時にストロー方式だけでなく、機材に息を吹きかけるオープンブロー方式が使える手軽さもある。

また、CAX-AD100は手軽に買うことができることからプライベートでの利用にもお勧めとなるだろう。前日に深酒をしてしまうと、翌日クルマで出掛ける際はアルコールが残っているかどうかがとても気になるが、その際のチェックとして役立つからだ。

企業としても飲酒運転は絶対にさせてはならない。

そのためにもまずは、該当する事業所であれば運行管理者を選任し、その上でアルコール検知器による確実な検査体制を運用することが重要だ。

とはいえ、アルコールに依存する生活をしている人は一定数存在するのも事実。場合によってはそれをすり抜けようとする人がいるかもしれない。そうした際の企業としての責任を全うする意味でもアルコール検知器の導入をぜひお勧めしたいと思う。

記事に関わった人々

  • 撮影 / 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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