フルモデルチェンジした新型『日産キックス』 価格だけに留まらない商品力に見えた「本気」 復活の狼煙となるか?

公開 : 2026.07.13 10:00

先日フルモデルチェンジを果たし、3代目となった新型『日産キックス』を、森口将之が取材します。300万円を切るスターティングプライスに注目が集まりますが、その商品力から日産の本気が見えてきました。

「日本市場で日産の存在感を復活させたい」

フルモデルチェンジしたコンパクトSUV、新型『日産キックス』試乗会で驚いたことのひとつは、試乗前のプレゼンテーションで、商品企画やデザイン、技術とともに、マーケティングの話があったことだ。

しかもその内容は、価格設定の説明などだけでなく、「日本市場で日産の存在感を復活させたい」、「お客さまに振り向いてもらえるように」と、今の日産に対するユーザーの印象を好転させていきたいというメッセージが、いくつか含まれていた。

ルモデルチェンジしたコンパクトSUV、新型『日産キックス』。写真は『G』の前輪駆動。
ルモデルチェンジしたコンパクトSUV、新型『日産キックス』。写真は『G』の前輪駆動。    平井大介

イヴァン・エスピノーサ社長になってからの日産は、日本では『リーフ』と『ルークス』の新型を発表してきた。それ以前の日産と比べるとハイペースだ。ただし前者は販売台数がそれほど多くない電気自動車だし、後者は三菱自動車との合弁会社『NMKV』がマネジメントを行っている。

加えてプレゼンテーションでは、日本で販売されている登録乗用車(つまり軽乗用車以外)の新車で最も多いのがSUVで、その半分以上を占めるのが、キックスが属するコンパクトSUVであるという説明もあった。

つまり単なるキックスのモデルチェンジ版ではない。日産復活の重積を担う1台とも言えるのだ。

また、日産独自のハイブリッドシステムである『e-POWER』が第3世代となり、プラットフォームはVプラットフォームからCMF-Bにチェンジ。4WDにはミドルクラス以上の技術だと思われていた『e-4ORSE』(イーフォース)を搭載しつつ、スタート価格が300万円を切るという思い切った内容は、こうした背景も関係しているのだろう。

だからこそ走りがどうなのか、興味があった。

アルファ・ロメオジュニアに似ている

新型キックスは価格が安い順に『Xシンプルパッケージ』、『X』、『X+』、『G』の4グレード構成で、全て前輪駆動とe-4ORCEが選べる。今回試乗できたのはGの前輪駆動とXのe-4ORCEだった。

スタイリングはやはり、アメフトのヘルメットをモチーフにしたというフロントマスクが目立つ。SNSの書き込みを見ると、好意的な意見が多い。これだけSUVが多くなったからこそ、力強くてタフな顔つきが求められているのかもしれない。

ボディカラーが赤だったこともあり、アルファ・ロメオのジュニアに似ているように見えた。
ボディカラーが赤だったこともあり、アルファ・ロメオのジュニアに似ているように見えた。    平井大介

一方サイドからリアにかけては、最初に乗ったGグレードのボディカラーが赤だったこともあって、アルファ・ロメオのジュニアに似ていると思った。デビューは同じ2024年の春なので、偶然、同時並行で進んでいたことになる。新型キックスは今のデザイントレンドを取り込んでいるとも言えるだろう。

そのうえで、フロントのライティングはセレナに通じるものがあるし、サイドウインドウ上端のモールはフェアレディZのそれに似ているなど、日産車らしさも盛り込んであることがわかる。

面白いのはサイドシルやバンパー下部のブラック部分で、Gグレードではグロスブラックで上質感をアピールするのに対し、Xではスニーカーのソールのようなパターンを刻み込んでいる。G以外を選んでも格下感がないのは嬉しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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