少し普通じゃないホットハッチ アバルト595 英国版中古車ガイド 排気音も魅力

公開 : 2023.01.02 08:25

イタリアン・ホットハッチのアバルト595。小粒なエキゾチックの中古車という選択肢を、英国編集部がご紹介します。

小さなボディに1.4L 4気筒DOHCターボ

賢明な選択は本当にカッコいいのだろうか。差し障りのない見た目に快適な乗り心地、秀でた実用性を兼ね備えたクルマを買わなければならないという、ある種の強迫観念に迫られてはいないだろうか。

もちろん、それは悪いことではない。しかし、それから外れた方が楽しいこともある。アバルト595は、凝り固まった考えをほぐしてくれる1台だ。

アバルト595 エッセエッセ(2019年/英国仕様)
アバルト595 エッセエッセ(2019年/英国仕様)

フィアット500をベースとしたアバルト595は、少し普通じゃない。1200kgもない小さなボディに、1.4L 直列4気筒DOHCターボエンジンが搭載されている。エグゾーストノイズは正直うるさい。

客観的に見れば、短く背の高いボディにパワフルなエンジンを押し込むことは、賢明とはいえない。技術的に高水準でもないが、多く人へ楽しいドライビング体験を与えてくれる。

アバルト500は2009年に発売され、2017年にバトンタッチしたのが595。最高出力はノーマルの146psから、後期型のコンペティツィオーネで180psまで幅がある。

1番穏やかな595でも、スズキスイフトスポーツに並ぶダッシュ力を披露する。595 コンペティツィオーネなら0-100km/h加速は6.7秒で、ミニ・クーパーS並みに速い。695 トリブート・フェラーリといった、魅力的な派生モデルも限定でリリースされた。

快音を響かせるオプションのマフラー

アバルト595で特徴といえたのが、クルマ好きなら思わず耳を傾ける快音を鳴らす、オプションのマフラー。ノーマルのエグゾーストでも隣の歩行者を驚かせるノイズを放つが、レコードモンツァかアクラポビッチを装備すれば、一層迫力が増す。

チャーミングな見た目から想像できないほど、響きは重厚。運転する右足にも、つい力が入ってしまうはず。

アバルト595 エッセエッセ(2019年/英国仕様)
アバルト595 エッセエッセ(2019年/英国仕様)

ただし、アバルト595のドライビング体験には少々まとまりがない。座面位置が高く運転姿勢は起き気味で、乗り心地は終始落ち着かない。操縦性は非常に機敏ながら、一癖ある。洗練性や快適性を重視するなら、優れた候補にはならないかもしれない。

だとしても、活気に溢れる走りっぷりは痛快。郊外のカーブが続く区間や都心部の交差点間を、信じられないほど愉快なものにしてくれる。軽い車重が大きく貢献している。

トランスミッションは5速オートマティックも選択できるが、一体感を求めるなら5速マニュアルを選びたい。シフトフィールには若干の引っ掛かりがあるものの、ダッシュボード高めの位置にノブがレイアウトされ、素早く動かせる。

やはりホットハッチにはマニュアルが1番。昔から最高のレシピは変わらない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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