スコダ・ラピッド 1.2 TSI S

公開 : 2012.06.28 13:14  更新 : 2017.05.29 18:40

■どんなクルマ?

スコダの新しいハッチバック、ラピッドは、スコダ・ファビオとオクラビアの間を埋めるモデルだ。インドと中国向けにはサルーン・ボディでよりクローム・トリムを多くしたモデルが特別に生産されるが、とにもかくにもスコダのラインナップの中にあっては戦略的な価格がつけられたお買い得感を前面に打ち出したモデルである。

そのスタイルは、スコダの新しいデザイン言語によって造られ、フロント・グリルには新しいスコダに共通のデザインのものが与えられている。

このラピッドは、2018年までに1,500,000台の販売を計画している。昨年スコダは880,000台を販売をした実績を持つが、あと7年のうちにその数を2倍にしようと目論んでいるのだ。

スコダによれば、コンパクトAセグメントのクルマは世界的な自動車市場において36%を占めているという。そして、2020年には、その割合は50%にまであがると予測している。

セアト・ラピッドは、1996年のオクタビアや1991年のセアト・トレドに非常に近いコンセプトで造られている。それはこのクラスとしては長く(4.48m)、幅が狭い(ドアミラー間で1.94m)。ノッチバック・スタイルのボディは、550リッターというエグゼクティブ・サルーン級の巨大な荷室を確保している。

そのコンポーネンツは、フォルクスワーゲンから、それもポロから流用されたものが多い。フロントがマクファーソン・ストラット、リアがコンパクトなビーム・アクスルというサスペンション・レイアウトで、特にリアのビーム・アクスルは、トランク・スペースを生み出すために有用となっている。いままでのフォルクスワーゲン・グループのクルマとは異なるところは、荷室を大きく取るための代償としてリア・シートの足元の空間を犠牲にしていないことだ。2.6mというホイールベースを持つモジュラー・プラットフォームは、初代のオクタビアよりもリアのレッグルームが広くとられているのだ。

ボディ・ウエイトはオクラビアよりも150g程軽く、ベース・モデルでは1140kgだ。ちなみに、6つのエアバッグ、ABS、ESPはヨーロッパ市場においては標準装備となる。

英国での価格設定は、74bhpの1.2リッター3気筒エンジン・モデルで12,995ポンド(160万円)からとなる。エンジンは5種類。84bhpと104bhpの1.2リッター4気筒ターボ、121bhpの1.4 TSi、88bhpと104bhpの1.6リッター・ディーゼルだ。最も強力な1.2のTSIを除いては、5速マニュアルが標準となり、7速デュアル・クラッチは1.4TSiに標準、88bhpのディーゼルにオプsyントなる。

トリムはS、SE、SEエレガンス・イグザクトの3つが用意される。

■どんな感じ?

シャシーの改良については若干の疑問が残るが、概ね良好な印象だ。

やや狭さを感じるものの、スリムなセンター・コンソールもあって、大人2人が方を並べて乗るのには十分なスペースが確保されている。また、リア・シートは、フロント・シートをゆったり目にセットしても、膝頭の前に2インチほどの余裕ができるほどだ。また、180cmクラスのパッセンジャーが座っても、リアにはヘッド・クリアランスが保たれる。その大きな荷室容量と合わせれば、家族が旅行にいけるだけのスペースが提供されるのだ。この積載能力は、従来のハッチバックでは想像ができないほど大きい。

また、ラピッドの優れている点は、そのスリムなボディにある。狭いパーキング・スペースでも、非常に簡単に駐めることができるのだ。

しかし、このクルマで最も印象的だったのは、そのターボ・エンジンだ。高速道路ではパンチのあるパワーが味わえるし、フレキシビリティに溢れ、しかも優雅な印象を与えるエンジンだった。高速道路では2500rpmを超える辺りで巡行することになるが、そのギア比も適切だったと感じた。

しかもその燃費は19.6km/lという数値をマークするのだから、高価なディーゼル・モデルを買う必要はないと思ったほどだ。

テストしたモデルで唯一不満だったのは、そのラフなシャシー・セッティングだ。適度な速度では、すべてが軽いタッチで、全く問題はなかった。しかし、壊れたアスファルトが多い田舎道では、あまりに多くのショックをドライバーに伝えるのだ。また、サスペンションのノイズも大きい。また、深いコーナーでは、ステアリングのフィーリングもたよりないものとなってしまった。

試しにのった1.6リッターのディーゼルでは、そんなことがなかった。両方のクルマが、共通の17インチ・ホイールを履いていたにもかかわらず、このようなテスト結果が出たことは、個体差によるものなのだろうか。

■「買い」か?

結論を出すには早いかもしれない。価格もはっきりしていないし、まだ英国でテストもしていない。キア・シードSWと同じぐらい高価であれば一考が必要だし、そのシャシーが本当に洗練されていないかどうかもまだわかっていないのだから。

(ヒルトン・ホロウェイ)

スコダ・ラピッド 1.2 TSI S

価格 14,000ポンド(173万円)
最高速度 NA
0-100km/h加速 NA
燃費 19.6km/l
Co2排出量 119g/km
乾燥重量 1190kg
エンジン 4気筒1197ccターボ
最高出力 84bhp/4800rpm
最大トルク 16.3kg-m/1500rpm-3500rpm
ギアボックス 5速マニュアル

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

スコダの人気画像