なぜ今でも、トヨタ・ハリアーは売れ続けるの? 誕生25周年 切り開いた高級SUV市場とは

公開 : 2022.12.31 11:15

3代目のキーは日本専用モデル化

だが、2013年にレクサスRXとは別の国内専用車種としてハリアーが復活した。

国内専用としたことで、サイズを従来型のレクサスRXよりダウンサイズして取り回しを良くし、しかもフロントは長く、リアは短い独特のプロポーションがダイナミックな動きを表現した。もちろん、クーペSUV的なスタイルは踏襲されている。

HARRIERとはタカ科の「チョウヒ」という鳥の英名であり、画像の3代目まではこれをシンボライズしたエンブレムを採用。モデル末期でも販売ランキング上位に食い込んでいたのが記憶に新しい。
HARRIERとはタカ科の「チョウヒ」という鳥の英名であり、画像の3代目まではこれをシンボライズしたエンブレムを採用。モデル末期でも販売ランキング上位に食い込んでいたのが記憶に新しい。    トヨタ

木目調パネルや静電式スイッチを採用したインテリアは、安全&快適装備も充実し、高級クロスオーバーSUVとしての地位を確立した。なお、パワーウインドウの「巻き込み防止機能」は、3代目ハリアーが世界で初めて採用したものだ。

2020年にフルモデルチェンジされた4代目(現行型)は、インテリアには鞍をイメージしたセンターコンソールや調光パノラマルーフなども採用し、より上質な空間を生み出している。

2022年9月にはプラグインハイブリッド車も設定。カーボンニュートラルな時代に向け、ハリアーは進化を続ける。

4代目は、そのスタイリッシュな外観や高級感のあるインテリア、快適な走りと静粛性などにより評価が高い。

とはいえ、このクラスのクロスオーバーSUVを購入しようとする層には、アウトドアでのレジャーを楽しむために「荷物をしっかり積みたい」とか、実用的なスタイルを好む人もいるはず。

そこでトヨタは、同じプラットフォームやパワートレインを採用したRAV4もラインナップしている。このあたりは、トヨタの商売上手さがうかがえる。

レクサスじゃない人 ミニバン卒業の人

また、“高級”クロスオーバーSUVといえば、レクサスと競合しそうだ。レクサスではRXの弟分、「NX」がじつは「ハリアー」「RAV4」と基本的に同じプラットフォームを採用している。

だが、この3モデルはパワートレインのスペック・装備などが微妙に違い、それゆえ価格も異なる。

4代目となる現行型ハリアー。志向が異なる顧客には同じプラットフォームのRAV4、新型レクサスNXで囲えるのがトヨタ・グループのSUV戦略の強み。
4代目となる現行型ハリアー。志向が異なる顧客には同じプラットフォームのRAV4、新型レクサスNXで囲えるのがトヨタ・グループのSUV戦略の強み。    池之平昌信

そうなると、予算や好きなデザイン、そして使い方で選ぶことになるが、「レクサス」ではなく「トヨタ」で買える高級クロスオーバーSUVというのはハリアーのセールスポイントの1つ。世の中には案外、“アンチ レクサス派”も少なからずいるのだ。

さらに、アルファードヴェルファイアといったLクラス・ミニバンからハリアーに乗り換える人もいる。これは、子育てが落ち着いて多人数乗車の機会は減ったものの、家族でアウトドアを楽しみたいという人が、アルヴェルのような存在感のあるスタイリングのSUVを求めて、ハリアーという選択肢にたどり着いているようだ。

レッドカーペットに横付けできるような高級SUV。こうして見ると、トヨタの巧みな市場分析とSUVブームの後押しが25年間の成功を導いているように思える。

もっとも、これはハリアーだけの話ではないが、相変わらず新車を購入しようとすると納車までの時間はかかる。

ハリアーでは、ガソリン車は約1年、ハイブリッド車は約1年3か月、PHEVは約1年半以上(!)も待つことになるという。購入を検討している人は、まずはディーラーに相談してみることだ。

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    AUTOCAR JAPAN

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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