発表迫るマイチェン版 ポルシェ・カイエン S 試作車へ試乗 4.0L V8ツインターボ獲得 前編

公開 : 2023.01.20 08:25

フェイスリフトで大幅に手が加えられる3代目カイエン。正式発表前に、英国編集部が試乗の機会を得ました。

1か月の厳しい開発テストを経た試作車

アメリカ・ロサンゼルスの高級ホテルの地下駐車場に、ボディやインテリアへ偽装が施されたポルシェカイエンが並んでいた。まだ太陽の光は青みがかった早朝。この姿のまま、公道を運転させてもらえるという。

太平洋に面したベニスビーチとサンタモニカへ車列を組んで走り、風光明媚なパシフィックコースト・ハイウェイを目指す。マリブへ着いたら、チャレンジングなワインディングロードも体験できるそうだ。自然と胸が高鳴る。

ポルシェ・カイエン S プロトタイプ
ポルシェ・カイエン S プロトタイプ

このブラックに塗られたカイエンは、マイナーチェンジ版となる3代目のプロトタイプ。従来的なワゴンボディと、クーペボディの両方が用意されている。カリフォルニア州の海岸線やネバダ州のモハベ砂漠で、1か月の厳しい開発テストを経てきた車両らしい。

これから、ドイツの開発本部へ戻される予定にある。様々な部品の耐久性や摩耗具合を確認するため、バラバラにされるのかもしれない。あるいは、整備を受けて更に厳しいテストへ送り込まれるのかもしれない。

しかしその前に、まだ完璧ではないにしろ、改良の成果を確かめさせてくれるという。ポルシェが抱く高い自信が伺える。

カイエンが属する上級SUV市場は競争が激しい。BMW X5アウディQ8メルセデス・ベンツGLEランドローバーレンジローバー・スポーツなど魅力的なモデルには事欠かないが、今後数年間、さらに対峙できる能力を得たようだ。

最も力が込められたボンネットの内側

2017年に発表された3代目のカイエンは、変動する情勢によって、当初より遥かに長いモデルライフが与えられることになった。そのため、今回の改良は極めて広範囲に及んでいる。一般的なフェイスリフトを超えた内容といってもいいだろう。

「カイエンの未来に不安はありません。新しいバッテリーEVをラインナップへ追加するための投資に伴い、内燃エンジンモデルのライフを伸ばすことが決定しています。通常のフェイスリフトより、大きな自由度が与えられました」

ポルシェ・カイエン S プロトタイプ
ポルシェ・カイエン S プロトタイプ

ポルシェのモデルライン・ディレクターを務める、ステファン・フェッグ氏が説明する。2025年に4代目のカイエンが発表される予定になっていたが、それがどう変化したのか、具体的なことは明言を避けた。

あと何年かは不明だが、モデルライフを伸ばすため、相当なアップデートが施されたことは間違いない。ポルシェが主張するほどの、革新的な変化とはいえないかもしれないが、少なくとも説得力を持つ内容にはなるだろう。既存のオーナーにとっても。

今回、最も力が込められた部分はボンネットの内側といえる。既存のユニットを高性能化させただけでなく、パワフルな選択肢が増やされることが特徴だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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