極めて高耐久のTdi ランドローバー・ディスカバリー(初代) 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2023.02.25 07:06

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

初代ディスカバリーは錆びやすい。スチール製の骨格をアルミニウム製パネルで覆っているため、内部で進行するサビは発見が遅れがち。

フロント・バルクヘッドにサイドシル、フェンダー、Aピラー、ボディマウント部分、ドアの開口部、リアドアのヒンジ、荷室フロア、クロスメンバー、Aフレーム・マウント周辺、リアサスペンション・マウント、バンパーなどが主な弱点。

ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)

またリアのシャシーレール、インナーフェンダー、ブレーキパイプなども錆びる。鏡なども利用して、丁寧に確認したい。

エンジン

オールアルミ製のV8エンジンが当時のディスカバリーのフラッグシップ・ユニットに据えられていたが、ユーザーの8割はディーゼルを選んでいる。

ディーゼルエンジンでは、6万4000kmか5年毎に指定されている、タイミングベルト交換の履歴を確かめる。排気ガスが過度に煙っていないかも試乗で調べたい。

ガソリンエンジンの場合は、オイル漏れに注意。ヘッドガスケットにダメージを与えるオーバーヒートや、クーラント漏れがないかもチェックポイント。英国の場合は、LPG仕様に改造されている例もある。

トランスミッション

LT77と呼ばれるユニットの場合は、内部ベアリングが摩耗しがち。R380ユニットでは、変速しやすくするシンクロメッシュが弱点。どちらも滑らかに変速できるかに加え、フルードの交換履歴や漏れがないかも確かめる。

サスペンションとステアリング

トラックロッド・エンド、ハブベアリング、ドライブシャフト・ブーツ、バンプストッパー、サスペンション・スプリングの状態を確認する。デフやステアリングラックなどからのフルード漏れもチェックポイント。

ブッシュ類は劣化しがち。英国では、ゴムブッシュをポリウレタン製へ置き換えるオーナーも多い。

電気系統

ドアロックやサンルーフ、パワーウインドウ、ヒーターなどが正常に動くか試してみる。ヒルディセント・コントロールやトラクション・コントロール、アクティブ・ロール機能、ABSなどに異常がないかも試乗で確認したい。

インテリア

初期型のライトブルーの内装は珍しく、部品も出てきにくい。ディスカバリー1では、3列目は横向きの折りたたみ式。ディスカバリー2では前向きになり、折り畳めるヘッドレストも備わる。

ランドローバー・ディスカバリーのまとめ

ディスカバリー1でも2でも、最大の敵はボディやシャシーのサビ。オフロードでの酷使もダメージを残しがち。シリーズ2では、複雑なシステムも悩みのタネになりやすい。

いつものことだが、予算の範囲で最良の1台を探し出し、適切なメンテナンスを施すことが理想。オプションは多彩に用意されていたから、装備内容も選択基準の1つとしたい。

ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)

誕生から30年以上の月日が立ち、ディスカバリーは熟成が進んでいる。状態の良い初期型は、クラシックカーとして順調に価値を高めつつある。

良いトコロ

英国ではディスカバリーに詳しい専門ガレージが多く、サポートは手厚い。極初期のモデルを除いて、中古部品の流通量も多い。在庫されていた新品の部品も出てくる。修復用のボディパネルも入手できる。

良くないトコロ

進行するサビと、価値が低かった時代の過酷な乗られ方が影響し、良好な例は少ない。購入時は、細心の注意を払いたい。

ランドローバー・ディスカバリー(初代/1989〜2004年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万9765ポンドから(1997年時)
生産台数:約68万5000台(シリーズ1、2の合計)
全長:4520-4705mm
全幅:1793-1885mm
全高:1918-1980mm
最高速度:136-170km/h
0-97km/h加速:10.5〜22秒
燃費:5.0-10.6km/L
CO2排出量:−
車両重量:1882-2237kg
パワートレイン:直列4気筒1994cc自然吸気/2495ccターボチャージャー/V型8気筒3528/3947cc自然吸気
使用燃料:ガソリン/軽油
最高出力:112ps/4000rpm-184ps/4750rpm
最大トルク:18.9kg-m/2500rpm-34.5kg-m/2600rpm
ギアボックス:5速マニュアル/4速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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