数字以上に良く走る ボルボXC40 B3へ試乗 163ps 4気筒のマイルドHV 小変更

公開 : 2023.03.08 08:25

上品なクロスオーバー、XC40のお手頃グレードとなるB3。小変更を受けた最新版を、英国編集部が評価しました。

新鮮さを保つべく繰り返されるアップデート

ボルボのコンパクト・クロスオーバーXC40が発売されたのは5年前。英国では頻繁に見かける人気モデルへ急成長した。同社のラインナップとして重要な一角をなしており、対照的にハッチバックのV40の存在感はずっと小さくなっている。

そんなXC40にフェイスリフトが施された。もっとも、ボルボは新鮮さを保つべく、毎年のようにパワートレインのアップデートやトリムグレードの見直しをしている。今回の変更内容は、さほど大きなものではない。

ボルボXC40 B3(英国仕様)
ボルボXC40 B3(英国仕様)

現在の英国市場の場合、3気筒エンジンにMTが組み合わされたT2とT3は販売が終了。トルクコンバーター式のATも、段階的にデュアルクラッチ式へ置き換わっている。ディーゼルターボは、2020年から販売されていない。

トップグレードとして据えられるのは、リチャージとリチャージ・ツインと呼ばれるバッテリーEV(BEV)仕様。ツインモーターの後者では四輪駆動になる。

ガソリンエンジンがお望みの場合は、T4かT5のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)が選択肢の1つ。T4には128ps、T5には179psの設定が与えられた3気筒エンジンに、82psの駆動用モーターが組み合わされる。ただし、少々お値段が張る。

お手頃に乗りたい向きには、B3とB4という2種類が控えている。2.0Lガソリンエンジンをマイルド・ハイブリッド化し、それぞれ163psと196psを発揮する。

数字以上によく走るB3 やや癖のあるHV

2023年仕様のフェイスリフトでは、C40 リチャージが採用する、アンドロイド・ベースのインフォテインメント・システムを獲得したことがトピック。見た目ではヘッドライトがスリムになり、バンパーの造形が新しくなっている。

今回試乗したのは、前輪駆動のXC40 B3。トリムグレードは中級となるプラスだ。車重1580kgのボディに163psと聞くと、活発には思えないかもしれないが、実際はその数字以上に良く走る。実際、0-100km/h加速を8.6秒でこなせ、まったく不足がない。

ボルボXC40 B3(英国仕様)
ボルボXC40 B3(英国仕様)

マイルド・ハイブリッドのシステムは、エンジンが低回転域の場面で、13psと4.1kg-mを加勢してくれる。その効果も大きいはず。

ただし、癖がないわけではない。燃費向上のため、走行中はエンジンが積極的に止まり、高速道路でもしばしば惰性走行状態になる。再び加速へ移ろうとすると、エンジンが始動しギアがつながるまでに若干のラグが生じてしまう。

結果として試乗時に得られた燃費は、平均で12.7km/L。悪い数字ではないものの、パワフルで四輪駆動のBMW X1 xドライブ23iと変わらなかった。

それでも、4気筒エンジンのサウンドは常に控えめ。トランスミッションも、ドライバーが意図したとおりには動いてくれる。印象自体は悪くない。

ボルボらしく、XC40は先を急ぐタイプではない。ステアリングホイールには安心感のある重さが伴う反面、手のひらへ伝わるフィードバックは殆ど感じられなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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