ずぶ濡れるサンデー・バギー セグウェイ・ヴィランとポラリスRZRへ試乗 オンロードも最高 後編

公開 : 2023.03.13 08:26

春が来たら思い切り遊びたいですよね。クルマ好きならバギーはいかがでしょう。英編集部が北米生まれの2台を評価しました。

想像以上に高いオンロードでの能力

オリジナルのランドローバーディフェンダーと同じく、ポラリスRZR トレイルSとセグウェイ・ヴィランは想像以上に奥が深い。日曜日に楽しむレジャービークル、といった軽めのノリで今回の試乗へ挑んだが、実際はそれ以上にのめり込める。

セグウェイもポラリスも、他にはないシンプルさがある。ドライビング・ポジションが高めで視界に優れ、ゴムで覆われたサポートバーが付き、操作系はベーシック。

ブルーのポラリスRZR トレイルSと、ブラックのセグウェイ・ヴィラン
ブルーのポラリスRZR トレイルSと、ブラックのセグウェイ・ヴィラン

ダッシュボードに余計な装飾は一切なく、コクピットが汚れたら丸ごと水洗いできる。セグウェイのフロアには、排水ドレインもある。

初代のディフェンダーように、コーナーではボディが大きめにロールし、慣れるまでは緊張感が伴う。ブロックパターンのタイヤはグリップするのか、流れてアンダーステアに陥るのか。柔らかいサスペンションは受け止めてくれるのか。期待と不安が交錯する。

実際は、2台とも想像以上にオンロードでの能力は高かった。バギーとしてオフロード性能を磨いただけあって、多少の妥協もあるとはいえ、コーナーリングも苦手ではない。むしろ爽快なほど。

優しくサスペンションへ負荷を掛けながら荷重移動の様子をうかがいつつ、ステアリングホイールを切り込んでいけば大丈夫。一般道の低い速度域でも最高に楽しい。

思い切り走り回れるエンターテイメント性

ダイヤのグリップが高いとはいえず、気張らなくてもテールを振り回せ、バレエダンサーのように踊れる。シートを通じて、驚くほどの感覚が伝わってくる。見た目以上に、意のままの操縦性を叶えている。緩やかにドリフトさせる気持ち良さへハマってしまう。

サスペンションのストロークは長く、肉厚なタイヤを履くから、セグウェイもポラリスも乗り心地は素晴らしい。路面状態を問わず、舗装路でも悪路でも、ドライバーへの衝撃を最小限に留めてくれる。どこでも走れるという、自信と充足感が湧いてくる。

ブルーのポラリスRZR トレイルSと、ブラックのセグウェイ・ヴィラン
ブルーのポラリスRZR トレイルSと、ブラックのセグウェイ・ヴィラン

一般的なクルマの運転から、意識を変える必要もある。ホイールの傷や、スタックする心配はほぼいらない。ひたすら目前の環境を楽しめばイイ。

それぞれに長所がある。セグウェイはホイールベースが長いため、コーナーでは安定している。回頭性も穏やかだ。一方でCVTは若干滑りが多く、加速時はタイヤがスリップしているのか判別しにくい印象だった。

ポラリスはホイールベースが短いが、小回りが効くため、過酷なオフロードでライン取りしやすいだろう。CVTの反応はよりダイレクトだが、ベストというわけではない。

とはいえ、それは些細なこと。思い切り走り回れるという、エンターテイメント性の輝きが霞むほどではない。午前中は開けた野山を駆け、午後は砂浜で戯れる、という楽しみ方も現実的だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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