ディープなクルマ好きを誘惑 オン/オフ兼備が面白い(1) ディフェンダー・オクタ ノマド 2 マスタング・ラリー

公開 : 2025.07.04 17:45

ディープなクルマ好きを誘惑する、オン/オフの二刀流モデル 桁外れの走破性を持つディフェンダー・オクタ 別次元の運転体験といえるノマド 2 滑らかにスライドするマッハE ラリー UK編集部が比較試乗

オンロードとオフロードの二刀流モデル

オンロードもオフロードも得意とする二刀流モデルは、ディープなクルマ好きを強く誘惑する。最近ではポルシェが911 ダカールを、ランボルギーニウラカン・ステラートをリリースした。入手できた人は、極めて限られたとはいえ。

2025年にも、選択肢は残されている。グレートブリテン島南西部、ウェールズ州のオフロードコース、スウィートラム・モータースポーツ・コンプレックスに揃った3台は、その精鋭といえる。

手前からアリエル・ノマド 2と、フォード・マスタング・マッハE ラリー、ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ・エディションワン
手前からアリエル・ノマド 2と、フォードマスタング・マッハE ラリーランドローバーディフェンダー 110 P635 オクタ・エディションワン

リアエンジンの後輪駆動から、バッテリーEVの四輪駆動まで、パッケージングは多様。今回はその1台、V8エンジンの最強ランドローバー・ディフェンダー、オクタの登場を祝うべく、濃密な個性を楽しんでみたいと思う。

アリエル・ノマド 2は、最高出力309psに車重715kgの俊足バギー。フォード・マスタング・マッハE ラリーは486psに2343kgだが、635psで2510kgのディフェンダー・オクタより0-100km/h加速を素早くこなす。果たして、ベスト・ファンな1台とは?

ノマド 2の開発予算はオクタのダンパー以下?

スペースフレーム構造に、ロングストロークのサスペンションが与えられたノマド 2。その車両開発予算は、ディフェンダー・オクタの6Dダイナミクス・インターリンク油圧ダンパーの開発予算より、小さかったはず。

対するマッハE ラリーは、専用サスにホワイトのアルミホイール、オールシーズン・タイヤ、アンダーボディ・ガードなどで武装してある。だが電動ファミリーSUVに、2250ポンド(約44万円)のオプションを追加しただけ、といっても間違いではない。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ・エディションワン(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ・エディションワン(英国仕様)

今回のスウィートラムのコースは、道幅が狭い。せいぜい、ノマド 2を2台並べられる程度。路面は乾燥し、土の上に大小様々な砂利が浮いている。巻き上がった砂埃を、透過する太陽光が美しく輝かせるが、非常に滑りやすい。グリップは期待できない。

カーブには穴が点在し、ストレートのワダチは深い。中にはイノシシくらいの岩もある。逆バンクの下り坂や、速度次第でジャンプする丘もある。ここでは、大パワーは有効ではない。太いトルクも、充分なトラクションがなければ活きない。

オンロードでは快適 桁外れの悪路走破性

とはいえ、ディフェンダー・オクタは大きく重いが、相当に過酷な条件も想定されている。人工的なコースへ、怯える必要はまったくない。ここまでの道のりも快適だった。駆動系は強化され、剛腕級の加速力を得つつ、長距離での快適性も失っていない。

同時に、悪路での走破性は桁外れ。晴天続きで、コースを横切る川の水量は少なかったが、ディフェンダー・オクタの渡河水深は最大1m。大雨の翌日だったら、他の2台は浅瀬か橋を探すことになっただろう。

フォード・マスタング・マッハE ラリー(英国仕様)
フォード・マスタング・マッハE ラリー(英国仕様)

便利なことへ慣れた現代人がアドベンチャーを謳歌するには、どれだけの物量を携行できるかも、重要な鍵の1つになる。その点で、ワゴンボディを背負うディフェンダーのアドバンテージは大きい。

マスタング・マッハE ラリーがそれに続くが、運べるエネルギー量には限りがある。最大337kmぶんの電気しか、駆動用バッテリーは蓄えられない。スウィートラムに到着した時点で、充電量は75%に減っていた。最寄りの急速充電器は、40km先にある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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