専用の吸排気系で585ps メルセデスAMG SL 63へ試乗 ホットロッドでグランドツアラー

公開 : 2023.03.22 08:25

AMGの独自モデルへ進化した最新SL。V8ツインターボで585psを叶えた63を、英国編集部が評価しました。

専用の吸排気系で585psと81.4kg-m

既にAUTOCARでは、英国の一般道で最新のメルセデスAMG SLへ試乗している。少し穏やかな55で。だが新たに、現在の仕様では最もパワフルな63もグレートブリテン島へ上陸を果たした。

SL 55とSL 63は、どちらも4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載している。それぞれ出力設定が異なり、55では475psの最高出力と71.2kg-mの最大トルクを発揮する一方で、63では585psと81.4kg-mへ明確に高められている。

メルセデスAMG SL 63(英国仕様)
メルセデスAMG SL 63(英国仕様)

これは電気的な制御だけでなく、メカニズムの変更も施された結果。吸気系や排気系が専用品となっている。冷却系にも改良を受けており、増大したパワーへ対応している。

SL 63では、アクティブ・エンジンマウントも装備される。専用デザインのアルミホイールも選べるようになる。四輪駆動と四輪操舵システムも標準で搭載し、リア側には電子制御のリミテッドスリップ・デフが組まれる。

トランスミッションは共通して湿式クラッチによる9速オートマティック。従来的なトルクコンバーター式ではない。

サスペンションは、どちらもコイルスプリングがボディを支えるが、SL 63には油圧システムで制御されるアクティブ・アンチロールシステムを採用。これらの違いで、サスペンションがより自由にストロークし、上質な姿勢制御を実現させている。

ドライブモードで生じる変化の幅広さ

SLのインテリアは、最新のSクラス並みにハイテク。ダッシュボードの中央には巨大なタッチモニターが鎮座し、ステアリングホイールのスポークにも多機能な操作パネルが実装されている。ドライブモードの選択肢も多彩だ。

フロントシートは大柄で、調整域が広く、体型を問わず快適に座ることができる。リアシート側は広いとまではいえないが、駅への送迎程度なら不満は感じないだろう。4.0L V8エンジンのサウンドを楽しみながら、雨風にさらされず移動できる。

メルセデスAMG SL 63(英国仕様)
メルセデスAMG SL 63(英国仕様)

また63では、最上級のSLとしてインテリア素材がアップグレードされる。歩道の段差を越える場面などで有効な、フロントリフト機能も備わる。

AMG謹製のV8ツインターボエンジンは素晴らしい。SL 55と直接乗り比べていないから、どれほどパワー感やレスポンスで異なるのかお伝えできないが、不足なく速いことは間違いない。雨がちなグレートブリテン島の場合では、尚のこと。

試乗で印象深かったのが、ドライブモードで生じる変化の幅。以前のレポートでも触れ
た通り、1台で多くのことを叶えようとしている。メルセデスAMG GTに迫るスポーティさを得つつ、ロングクルージングが快適なグランドツアラーでもあろうとしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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