「米国トラックに革命」 フォード、F-150後継に次世代EV製造へ 2025年

公開 : 2023.03.27 18:25

フォードは、2025年に完成予定の新EV工場「ブルーオーバル・シティ」で、新型のピックアップトラックを製造すると発表しました。「プロジェクトT3」と呼ばれ、F-150ライトニングの後継となる可能性があります。

次世代EVトラック 2025年製造開始

フォードは、次世代EVピックアップトラック「プロジェクトT3」を2025年に発売する計画を明らかにした。F-150ライトニングの後継と予想される。

フォードのジム・ファーリーCEOは「プロジェクトT3は、米国のトラックに革命を起こす一生に一度のチャンスです」と声明で述べている。

現行F-150ライトニングは、エンジン車をベースとしている。
現行F-150ライトニングは、エンジン車をベースとしている。

Fシリーズのピックアップトラックは、F-150が40年以上にわたって米国の新車販売台数のトップに君臨していることから、「米国の代表的なトラック」として広く認知されている。

フォードは、現在テネシー州に建設中の新工場「ブルーオーバル・シティ」で、2025年からプロジェクトT3を製造するとしている。

ブルーオーバル・シティは56億ドル(約7320億円)をかけて建設され、2025年の完成後は年間約50万台のEVトラックを製造する予定だ。工場ではカーボンフリーの電気や地熱を利用することで、カーボンニュートラルな車両・バッテリー製造を実現するという。

バッテリーセルとパックは同工場内で組み立てられるため、韓国や中国から輸送する場合のような経済的・環境的コストを削減することができる。また、米国内でバッテリーを生産することで、フォードはインフレ抑制法による税控除を利用できるようになる。

フォードの第3四半期決算説明会では、この税控除によってバッテリーコストを1kWhあたり約45ドル(約5880円)削減できると説明された。参考までに、世界で最も安いEV用バッテリー(中国企業CATL社製)は1kWhあたり134ドル(約1万7500円)だと言われている。

ジム・ファーリーCEOによれば、プロジェクトT3の製造工程も「同様に画期的」なものになるという。「根本的なシンプルさ、コスト効率、品質技術により、ブルーバル・シティはヘンリー・フォードのルージュ工場の現代版となります」

テスラは、大型の金属パネルの鋳造を可能にする「ギガプレス」機によって、EV製造のリーダーとして認知されている。英ロイター通信の報道によると、同社はモデルYを10時間で製造でき、これは他社製EVのおよそ3倍に匹敵する速さだという。

フォードは車両製造においてどのような開発を行ったのか、まだ完全には明らかにしていないが、プロジェクトT3がブルーオーバル・シティと連携して設計されていることは認めている。従来の工場よりも30%小さい面積で、より大きな製造量を確保するとされている。

昨年発売された現行F-150ライトニングは、内燃機関搭載のF-150をベースにしている。EV市場が未成熟であることを考えると、T3がF-150に取って代わるほどの主力製品となる可能性は低い。しかし、EV競争が次第に激化する中で、フォードは存在感を誇示しなければならない。

ゼネラルモーターズ傘下のシボレーとGMCは、それぞれシルバラードEVとシエラEVという新型ピックアップトラックを今後数年のうちに発売する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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