Rなら918psで0-100km/h 2.9秒 ロータス・エレトレへ試乗 新しいブランド像を定義 後編

公開 : 2023.04.27 08:26

ロータスによる電動SUVが遂に誕生。ブランドファンには響かずとも、ブランドの次章の始まりだと、英国編集部は評価します。

回生ブレーキと物理ブレーキの融合は巧妙

日常的な運転をしている限り、ロータスエレトレの駆動用モーターによる回生ブレーキと、スチールディスクによる物理ブレーキとの融合は巧妙。ペダルの感触もしっかりあり、自然だった。

アクセルペダルを緩めた時の回生ブレーキの効きは、ステアリングホイール裏のパドルで調整可能。ただし、最も強い設定を選んでも、そこまで強力にはならないようだ。

ロータス・エレトレ R プロトタイプ
ロータス・エレトレ R プロトタイプ

乗り心地は、路面が平滑なテストコースということで充分には確かめられていない。コースの縁石へ乗り上げてみた限り、エアサスペンションとアダプティブダンパーが、幅広い能力を備えていることは伺い知れた。

複数あるドライブモードで最も穏やかなのが、ツアー。611psのエレトレ Sで選択してみると、全体の質感がソフトに変化し、急加速時にはフロントノーズが上を向く。コーナーでは、ボディロールも大きく感じられた。

スポーツ・モードを選ぶと、フラットな舗装路でもサスペンションが引き締まるのを実感する。回頭性も明らかに鋭くなっていた。

エレトレ R専用となるのが、トラック(サーキット)・モード。エアサスペンションが自動的に車高を落とし、公道では許されない動的能力を味わえる電動SUVへ切り替わる。V8ツインターボを積んだ、ランボルギーニウルス・ペルフォルマンテのように。

電子技術が相乗しSUVとは思えない走り

アダプティブ・ダンパーやアクティブ後輪操舵システムなどが相乗し、918psのエレトレ RはSUVと思えない走りを実現している。とはいえ、2400kgの質量を素早く動かすことが、チャレンジングな課題であることに変わりはない様子。

フロントタイヤの反応はシャープで、旋回初期の身のこなしはタイト。しかし、きついコーナーではアンダーステアを抑えることができていなかった。

ロータス・エレトレ R プロトタイプ
ロータス・エレトレ R プロトタイプ

もっとも、試乗したエレトレは欧州仕様として完成される前の状態。今後、チューニングが煮詰められていくことだろう。試乗した日の武漢市はムシムシと暑く、気温は35度に届き、タイヤへの負担も大きかったはず。空気圧も上昇気味だった。

走り込む前の、冷えたタイヤで同様にコーナリングしてみたが、遥かにニュートラルな回頭性を叶えていた。高速域での方向転換も安定してこなしていた。

リアアクスルにはオープンデフが組まれ、ブレーキ制御によるトルクベクタリング機能が実装されている。それでも、機械式リミテッドスリップ・デフや、左右個別の駆動用モーターによる、より広範囲な制御には届いていない。

限界領域まで踏み込むと、システムがグリップとトラクションを最大限に高める努力をしていることが感取できる。だが、それを超えた滑沢さまではない。スタビリティ・コントロールをオフにすれば違うのかもしれないが、今回は許されなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

Rなら918psで0-100km/h 2.9秒 ロータス・エレトレへ試乗 新しいブランド像を定義の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

ロータスの人気画像