DS7 詳細データテスト パフォーマンスはまずまず ハンドリングもそこそこ EV走行はかなり快適

公開 : 2023.05.06 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆

かつてテストしたDS7クロスバックは、非ハイブリッドで50タイヤを履いたアクティブスキャンサスペンション仕様だったが、乗り心地は粗めだった。今回の仕様も、ハードウェアを全面的に手直ししているわけではない。しかもローダウンサスペンションに21インチの35タイヤを履いているので、乗り心地が満足いくものでなくても驚きはない。

路面が完璧に整備されていないところでは、乗り心地はせわしなくガタついて、大径ホイールの最悪の事態を恐れて怯みそうになるようなこともある。サイドウォールの薄いタイヤがその要因だが、DSはここ数年、カメラを用いたアクティブスキャンサスペンションを使い続けているので、今回は不整路面でもうまく対処できる洗練性に期待した。

大径ホイールは存在感を高め、DSパフォーマンスの名に相応しいハンドリングをもたらしはするが、アクティブスキャンサスペンションをもってしてもゴツゴツした乗り心地を生んでしまう。
大径ホイールは存在感を高め、DSパフォーマンスの名に相応しいハンドリングをもたらしはするが、アクティブスキャンサスペンションをもってしてもゴツゴツした乗り心地を生んでしまう。    LUC LACEY

それが機能していることは、ハイブリッドとコンフォートの両モードでは感じ取れる。というのも、システムが路面を読み取るための短い遅れの後で、ボディはバンピーな道でも明らかに水平を保つようになる。それでも、革新的な差はなく、轍や舗装の穴では中断を余儀なくされる。

長所を挙げるなら、高速道路の速度域で、車内騒音がBMW X1アウディSQ5スポーツバックより低いことだ。シートの快適性も高い。着座位置は高く、脚も腰もしっかりサポートしてくれる。とはいえ、DS7 360のパフォーマンスのポテンシャルと横グリップのレベルを考えれば、横方向のサポートは不足気味だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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