2.0Lターボ・クーペ比較 日産フェアレディZ 三菱スタリオン 200ZRはZ31のベスト? 前編

公開 : 2023.06.17 07:05

2.0L V6ターボより強力 車重は約170kg軽量

そして1985年、名機として名高いRB型と呼ばれる直列6気筒エンジンが追加される。1980年代初頭に、日本初となる量産V型6気筒エンジン「VG型」を開発した日産ではあったが、伝統的な直列6気筒にも可能性があると判断したのだ。

同じく1980年代の初めに、L型ユニットの基本設計をベースに開発がスタート。4バルブのオーバーヘッド・ツインカム(DOHC)を採用したRB20DETエンジンは、R31型スカイラインに搭載され、直後にフェアレディZでも選べるようになった。

シルバーの日産フェアレディZ 200ZRと、レッドの三菱スタリオン EX
シルバーの日産フェアレディZ 200ZRと、レッドの三菱スタリオン EX

RB型にはオーバースペックといえる技術が投じられており、1989年のR32型スカイライン GT-RではツインターボのRB26DETTへ進化。チューニング次第で大幅なパワーアップも難しくなく、現在に続く日本車人気の原点を作ったユニットといえる。

Z31型フェアレディZに積まれた2.0L版でも、同じ排気量のVG20型V6ターボに勝る180psの最高出力を実現。また一部の装備が簡略化されたことも手伝って、VG30型エンジンを積んだ300ZX比で、約170kgも車重が抑えられていた。

その結果、2.0L直6ターボ仕様はZ31型で最も安価でありながら、走りは鋭敏だった。スポーティなことを示すべく、日産は200ZXではなく、200ZRというグレード名を与えている。ところが、惜しまれることに欧州市場では提供されなかった。

ギャランΣをベースとしたスタリオン

他方の三菱は、3000GT、GTOの祖先といえるスポーツクーペ、スタリオンで一定の成功を海外で掴んだ。初期型が発売されたのは、200ZRが登場する3年前の1982年。179psを発揮する、直列4気筒2.0Lターボエンジンがラインナップされていた。

日産とは異なり、スタリオンのG63B型シリウス・ユニットは名機とまでの評価は得ていない。シングル・オーバーヘッドカム(SOHC)の2バルブ・ヘッドを載せ、目立った特徴は備わっていなかった。

シルバーの日産フェアレディZ 200ZRと、レッドの三菱スタリオン EX
シルバーの日産フェアレディZ 200ZRと、レッドの三菱スタリオン EX

しかし、このG63B型ユニットは後に改良が加えられ、4G63型へアップデート。ギャランVR-4やランサー・エボリューションへ搭載され、名機として広く認知されるようになっている。

スタリオンのプラットフォームは、1980年に登場したギャランΣ(サッポロ)の進化版。日本車最速という肩書きを背負い、英国の三菱ディーラーにも並んだ。英国へやって来た珍しいフェアレディZを堪能するにあたり、比較相手としては好適といえる。

200ZRのステアリングホイールを握ってみると、RB20DETユニットのスムーズさに唸らされる。比較的小さなシリンダーが直線上に6本並び、喜んで回ろうとする。アクセルペダルの操作に対し、意欲的に反応する。

直列6気筒らしい、ドライで甲高い排気音が心地いい。右足の力を緩めると、余分なガソリンがザラツイたノイズを放ちながら燃える。

スタリオンより最大トルクは低く、発生回転域も高めだが、200ZRの方がエネルギッシュ。日産はブースト圧を低くし、圧縮比を高め、柔軟性も重視されている。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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