メルセデス・ベンツC111 電動ハイパーカーとして復活 ガルウィングドアに次世代モーター搭載

公開 : 2023.06.16 18:45

メルセデス・ベンツは新しいEVコンセプトカー「ビジョン・ワン・イレブン」を公開しました。1960年代から70年代の実験車C111へのオマージュであり、開発中の次世代電動パワートレインが搭載されています。

かつてのC111へのオマージュ

メルセデス・ベンツは、新たなコンセプトカー「ビジョン・ワン・イレブン」を公開した。70年代のブランドアイコンの先進的な解釈がテーマだという。

ビジョン・ワン・イレブンは、モノリシックなエクステリアデザイン、ガルウィングドア、シルバーのシートを備えた華やかなコックピットを持つ2シーターのEVハイパーカーだ。1960年代後半から1970年代前半にかけて、さまざまな試験・開発計画のために2世代にわたって16台生産された実験車「C111」へのオマージュである。

メルセデス・ベンツ・ビジョン・ワン・イレブン
メルセデス・ベンツ・ビジョン・ワン・イレブン    メルセデス・ベンツ

英国Yasa社の軸流電気モーター2基をリアに搭載し、駆動用バッテリーにはメルセデスAMGのF1部門が開発した液冷式円筒形セルと新開発のセルケミストリーを採用した。メルセデスの次期電動スポーツカーのドライブトレインを示唆するものでもある。

メルセデス・ベンツは、ビジョン・ワン・イレブンの最高出力や航続距離を公表していないが、そのユニークな構成のドライブトレインが「電動モビリティを新しいレベルの性能と効率に引き上げる可能性を秘めている」としている。

最高技術責任者のマルクス・シェーファー氏は、「メルセデス・ベンツ・ビジョン・ワン・イレブンは、未来のパフォーマンスのための新しい道を探っています。モータースポーツのような出力を発揮します」と述べている。

エアロにこだわったボディ形状

スタイリングとしては、凹凸の少ないクリーンなボディフォルムとフラッシュ式のガラスキャノピーを組み合わせ、C111からヒントを得た高度なエアロダイナミクス機能を備えている。

低くおさえられたフロントエンドは、かつてのプロトタイプを模倣したもの。ノーズセクションは、ピクセル状のグリルの中に2つの円形ドライビングランプを組み込み、ブラックのカーボンファイバー製スプリッターで強調している。

メルセデス・ベンツ・ビジョン・ワン・イレブン
メルセデス・ベンツ・ビジョン・ワン・イレブン    メルセデス・ベンツ

空力効率に徹底的にこだわり、フロント左右にそれぞれ3つのエアベントを設け、フロントガラスの前にも2つのエアベントを備えている。

一方、ホイールベース内に収められたワイドなカーボンファイバー製シルは、風を逃がす「ブレード」エレメントと組み合わされ、リアモーターに向かって冷却風を流す。

さらに、ドアの裏側にも通気孔が設けられている。

大きく膨らんだホイールアーチには22インチホイール(フロント275/35、リア315/30)が装着された。曲面のサイドパネルを組み込んだ長いガルウィングドアは、高く持ち上がって室内へのアクセスを容易にする。

リアでは、ダウンフォースを増加させる可動式のスポイラーが静かに存在感を放っている。フロントと同様にピクセル化されたセクションがあり、下部にはディフューザーが装備されている。

メルセデス・ベンツのチーフ・デザイン・オフィサーであるゴーデン・ワグネル氏は、全長4600mmのアーチ型のシルエットを、市販EVのEQEEQSの「ワンボウ」デザインになぞらえ、次のように語った。

「クリーンでピュア、そして同時に極めて筋肉質なプロポーションが驚きの要素となっています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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