英国、6月自動車販売は回復へ EV促進も「障壁」 業界団体、購入者へのインセンティブ要求

公開 : 2023.07.10 06:45

英国の自動車販売はサプライチェーンの混乱から順調な回復を見せ、バッテリーEVの普及も進んでいます。しかし業界団体は、いまだにEV所有に対するハードルは高いとして、政府からのインセンティブを要求しています。

前年同月比で回復 EV購入にはまだ障壁も

英国の自動車業界団体である自動車製造販売協会(SMMT)は、個人消費者が企業らと同じようにEVを急速に導入するには、より大きなインセンティブが必要であると主張している。

英国における6月のバッテリーEVの販売台数は、前年同月比39.4%増の3万1700台であった。SMMTによると、現物給付税率の引き下げなど、十分な経済的インセンティブを受けるフリート販売(レンタカー業界)が、この販売台数の増加を牽引したという。

自宅で充電できる人とそうでない人の間で、充電にかかる税金に「4倍」の差が生じているとのこと。
自宅で充電できる人とそうでない人の間で、充電にかかる税金に「4倍」の差が生じているとのこと。    AUTOCAR

一方、個人消費者はここ数年、一連のインセンティブ削減に直面している。特に、プラグインカー補助金(最終形では3万2000ポンド未満のEVに1500ポンドの割引を提供)は、2022年6月に全面的に廃止された。

SMMTは、「購買意欲をさらに高めるために、他の利害関係者がもっとできることがある」とし、家庭用電気料金には5%の税率が適用されるのに対し、公共充電器には標準的な20%の税率が適用されると指摘し、公共充電にかかる付加価値税の引き下げを求めている。

SMMTのマイク・ホーズCEOは次のように述べた。

「ほとんどのEV所有者は、自宅での充電の利便性とコスト削減を享受していますが、私有車道や指定駐車場を持たない所有者は、同じ電力量に対して4倍の税金を支払わなければなりません」

「これは不公平であり、普及を遅らせるリスクがあるため、公共のEV充電にかかる付加価値税を削減することで、EVの所有がより公平になり、より多くの人々にとって魅力的なものになるでしょう」

6月中に英国で販売された自動車は17万7266台で、その内訳はフリート向けが9万2699台、個人向けが7万9798台、企業向けが4769台であった。前年同月比25.8%の増加であり、パンデミックによるサプライチェーン不足から業界が立ち直ったことを反映している。

純ガソリン車が依然として最も人気があり、登録台数は7万367台で市場シェア39.7%を占め、次いでバッテリーEV(17.9%)、マイルドハイブリッド・ガソリン車(16.1%)となった。

ディーゼルの落ち込みは続いており、販売台数は2022年6月の8003台から6221台へと22.3%減少し、市場シェアはわずか3.5%となった。

車種別で最も売れたのはテスラモデルYで5539台、次いでフォード・プーマ(5453台)、ヴォグゾールコルサ(4146台)だった。

今年1~6月の6か月間に英国で販売された自動車は94万9420台で、2022年の同時期と比較して18.4%増となる。そのうち、最も人気があったのはプーマだった。2万2765台を記録し、コルサ(2万1208台)、日産キャシュカイ(1万9983台)が続いた。

特筆すべきはフォード・フィエスタで、1万5359台が登録され、第9位についた。フィエスタは7月7日にドイツ・ケルンの工場での生産を終了した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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