BMW M2 詳細データテスト 文句なしの速さ 落ち着きの増したハンドリング 快適さも大きく進歩

公開 : 2023.07.22 20:25  更新 : 2023.08.11 20:55

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

1Mクーペのおもちゃっぽいが、完璧なバランスで、ギュッと引き締まったプロポーションは、先代M2同様、現行モデルにも引き継がれている。

長さのあるボンネットやふくらんだフェンダー、開口部の大きいバンパーやグリルを持つ新型M2は、モディファイされたホットロッドカスタムカーや、ドーピングした競技車両のようなルックスだ。好戦的な感じで、プリティさはない。存在感はあるが、単なる見た目重視だというテスターはほぼいなかった。

M240iクーペよりフロントのフェンダーは49mm、トレッドは44mmワイド。サイドシルも張り出しているので、パッと見ではスタンスが広がっているのがわかりづらい。
M240iクーペよりフロントのフェンダーは49mm、トレッドは44mmワイド。サイドシルも張り出しているので、パッと見ではスタンスが広がっているのがわかりづらい。    JOHN BRADSHAW

全長は先代に比べて119mm長いが、それでもメカニズムの多くを共有するM4クーペよりは214mm短い。M4との全長差のうち110mmは、短めのホイールベース内にあるので、アジリティへの影響は間違いなくあるはずだ。それでも、先代よりは54mm伸びている。

ベースとなるCLARプラットフォームは、2シリーズ・クーペからX7まで、BMWのエンジン縦置き後輪駆動車に用いられるコンポーネンツだ。

Mディビジョンでは、M3やM4で実証済みのコンポーネンツを可能な限り使っている。重量面のハンデはあるが、フルサイズの最新Mモデルが備えるパフォーマンスや技術的な能力を、新型M2にもたらしている。メリットの部分に関しては、先代以上に大きな影響が、完成した車両にみられる。

重量については、小さな差ではない。2016年のM2に対しては205kgの増加だ。ただし、2018年のM2コンペティションと比較すると、その差はやや縮まる。

M4と同様に、M2はMディビジョンが手がけた足回りを採用する。フロントのストラットは軽量・高剛性化が図られ、リアのマルチリンクは軽量化とワイド化に加えリジッドマウント化が施されている。

しかし、上位機種と違うのは後輪駆動のみとなることと、6速MTと8速ATが用意されることだ。どちらのトランスミッションも、リアにはMのアクティブLSDを組み合わせる。

エンジンはS58型直6ツインターボだが、最高出力は459psと、M4に積む仕様の551psより控えめ。最大トルクは56.1kg−mとなかなかの太さで、2650〜5870rpmの広いトルクバンドを持つ。

ホイールはフロントが19インチ、リアが20インチ。テスト車が履くタイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4Sだが、これはオプションのMレーストラックパッケージに含まれるアイテムだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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