いま1番トラッドなBMW 小変更 2シリーズ・クーペ(1) 肝な戦略的デザインとパッケージング

公開 : 2025.07.10 19:05

戦略的スタイリングとパッケージングの、2シリーズ・クーペ 小変更でワイドなモニターパネル獲得 充分に強力で悪くないサウンドの4気筒 押し出される感覚が気持ちイイ UK編集部が試乗

戦略的スタイリングとパッケージング

今、1番トラッドなBMWといえば? 恐らく、G42型の2シリーズ・クーペだろう。長いボンネットの先を、大きすぎないキドニーグリルが飾り、リアピラーの付け根にはホフマイスター・キンクも備わる。望めば、直列6気筒エンジンも選べる。

後輪駆動で、ボディサイズはラインナップの中では小柄な方といえ、シートは2+2。従来からのブランド・ファンを引き止めつつ、若い世代にもアピールするという、戦略的なスタイリングとパッケージングだと思う。

BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)

技術的には4シリーズと共有しつつ、価格も高すぎない。英国では、3万6010ポンド(約702万円)からだ。

選べるエンジンは、英国仕様では3種類。220iと230iには、それぞれ183psと244psに設定された、2.0L 直列4気筒が載る。四輪駆動の240iでは、384psの直列6気筒になる。この上には、走りを極めたM2も存在する。

E30型M3とイメージが重なるコークボトル

そんな2シリーズ・クーペは、モデル中期のアップデートを受けたばかり。新しいフロントマスクにサイドスカート、リアディフューザーが与えられ、ホイールとボディカラーの選択肢も更新され、新鮮味が維持されている。

フェンダーラインが膨らみドア付近がくびれた、コークボトルラインは健在。古くからのファンの中には、E30型のM3とイメージを重ねる方もいらっしゃるだろう。

BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)

現在のBMWは、偶数シリーズは1つ小さい奇数シリーズのクーペやスポーツモデル、とカテゴリー分けされている。つまり、2シリーズは1シリーズの兄弟といえるが、このクーペの場合、グランクーペやアクティブツアラーとは異なり、メカニズムは別物だ。

プラットフォームは、縦置きエンジンに対応したCLARの短縮版。先述の通り、3シリーズや4シリーズの方が、関係性は近い。

小変更でワイドなモニターパネルを獲得

ドアを開くと現代のBMWらしく、ワイドなモニターが出迎えてくれる。今回の小変更で、メーター用は12.3インチ、インフォテインメント用は14.9インチの一体型パネルになり、エアコンの操作系も集約された。アンビエントライトも新しい。

ソフトの操作性は悪くない。しかし、ヒーターの温度調整などは、従来の方がしやすかったことは否定できない。

BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)

前席側の空間にはゆとりがあり、シートの座り心地は素晴らしい。従来どおり着座位置は低く、調整域も広く、理想的な運転姿勢を探し出せるはず。操作系の人間工学も良好で、ステアリングホイールはリムの太いM仕様が組まれる。

同クラスのメルセデス・ベンツを少し上回る、高品質な内装も変わらない。クーペの2+2だから、後席側の空間は余裕が限られる。長距離を快適に過ごせるのは、小柄な大人までだろう。

走りの印象とスペックは、小変更 BMW 2シリーズ・クーペ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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