押し出される感覚が気持イイ 小変更 BMW 2シリーズ・クーペ(2) 可能な内に楽しみたい走りの1台

公開 : 2025.07.10 19:10

戦略的スタイリングとパッケージングの、2シリーズ・クーペ 小変更でワイドなモニターパネル獲得 充分に強力で悪くないサウンドの4気筒 押し出される感覚が気持ちイイ UK編集部が試乗

4気筒でも充分力強く悪くないサウンド

モデル中期のアップデートを受けた、BMW 2シリーズ・クーペ。今回試乗したのは直列4気筒エンジン版だが、6気筒の方が滑らかで強力で、美声を楽しめることは間違いない。それでも230iでも充分に力強く、悪くないサウンドを奏でてくれる。

交差点からの発進で少し気張ると、トラクション・コントロールが目覚めるほど。最高出力の244psを引き出せば、0-100km/h加速を5.9秒でこなしてみせる。最大トルクは40.7kg-mと不足なく、中間加速も鋭い。6000rpmから、やや息苦しそうになるが。

BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)

トランスミッションは、ZF社製の8速オートマティック。小さなシフトパドルを弾くと、鋭く意欲的にギアを切り替え、デュアルクラッチATかと思わせる。トルクコンバーターが滑るような印象もない。

ドライブモードは複数あり、エコ・プロはかなりマイルド。ノーマル・モードでも、8速ATは燃費重視の制御になり、ややパワートレインの洗練性に陰りが出る。

押し出されるような感覚が気持イイ

クーペらしく颯爽と走りたい場合は、スポーツ・モード。強調される合成音は直6とは異なる響きだが、聴き応えがあり、筆者は嫌いではなかった。エンジンの反応が良くなり、ステアリングは適度に重くなり、ブレーキの立ち上がりも鋭く変化する。

ドライバー好みで設定を組み合わせられる、スポーツ・インディビジュアル・モードも用意される。ただし、ブレーキの効きは若干穏やかになる様子。

BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)

6気筒エンジンでなくても、アクセルペダルを傾けた時の、押し出されるような感覚が気持イイ。後輪駆動のシャシーバランスが秀抜なだけでなく、低い位置の着座位置も、流暢なコーナリングに貢献している。

ステアリングのロックトゥロックは、可変レシオの2.2回転。操舵感は自然で、走行中はクイックすぎない。フィードバックは薄めでも安心感のある重さで、どのくらいステアリングホイールを傾けるべきか瞬時に判断できる。

路面の凹凸を拾いやすいMスポーツサス

ただし速度域が高めのカーブでは、フロントタイヤが安定するまで、一瞬のタメがある印象。グリップ力は間違いないものの、完璧な自信までは抱きにくいかもしれない。

サスペンションは、4気筒の場合、アダプティブではない通常のMスポーツダンパーが標準。比較すると、路面の凹凸を拾いやすい傾向はある。大きめの隆起を通過すると、姿勢制御が追いつかなくなる場面も見られた。

BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)
BMW 220i クーペ Mスポーツ(英国仕様)

19インチ・ホイールも、荒れた路面での洗練性にプラスではない。乗り心地が硬すぎるということはなく、普段使いもまったくの許容範囲ではあるが。

試乗時の燃費は、183psの220iでは平均で12.0km/L。高速道路を巡航させると、14.0km/Lを超えていた。230iは燃費が若干悪化するものの、筆者ならパワフルになるコチラを選ぶと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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